首都大学東京が来年4月に開講する高齢者向け講座「首都大学東京(TMU)プレミアム・カレッジ」の準備が進んでいる。東京の街を教材に学び、世代を超えた交流を促すことで高齢者の生きがいを見つけてもらうのが狙いで、10月には、南大沢キャンパス(八王子市)でPRのため、記念シンポジウムを企画している。 都によると、都内の65歳以上の人口は平成29年9月時点で305万人を超え、全体の約23%。国連は21%を超えると「超高齢社会」と定義づけている。さらに、37年以降、東京でも人口減少と超高齢社会が加速度的に進むといわれる。 同大学に開講するプレミアム・カレッジは、会社勤めや育児など多くの経験を積んだ50歳以上を「プレミアム世代」と位置づけて入学者を募集し、「首都・東京をフィールドに学ぶ」をテーマに、専門性の高い科目と教養科目を用意する。1年間で週3、4日程度の通学を想定している。 東京の歴史や文化、都市
性暴力加害者と被害者が話す場所 性暴力は私たちの心をひどくざわつかせる。 加害者を恐れる気持ち、被害者に同情する気持ち、そしてどちらも平穏な日常生活からは遠ざけたい気持ち。 しかし、現実には、性暴力は、日常生活の中にある。 英語で「部屋の中の象」という言い回しがあるが、部屋の中に象がいて怖いし、身動きとれず、どうすればよいのか分からず、まるで象などいないかのように皆が振る舞うことを意味する。 その「部屋の中の象」を見る試みが先日大阪で行われた。性暴力の被害者と加害者、そして支援者が集う「えんたく」の開催である。 「えんたく」とは、「多様化する嗜癖・嗜虐行動からの回復を支援するネットワーク(通称ATA-net)が推奨している嗜癖・嗜虐行動からの回復と回復支援のネットワーク作りを進める方法の一つだ。 ひらたく言ってしまえば、嗜癖・嗜虐行動を持つ当事者と家族・支援者そして市民などが集まって直接顔
子どもたちの自殺やいじめを防ぐため、LINEなどのSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)を使った相談を受け付ける自治体が急速に広がっている。朝日新聞が都道府県と政令指定市の67自治体に尋ねたところ、「既に実施」「実施予定」との答えが全体の5割にあたる34自治体に上った。自治体側は「一人で悩まず、気軽に相談してほしい」と呼びかけている。 調査は7~8月、47都道府県と20政令指定市の教育委員会などの担当部署に、主に高校生までを対象にしたSNS相談の予定や実施時期を聞いた。「既に始めた」「取り組む予定」と答えたのは福島県や和歌山県、熊本県、三重県など34自治体だった。相談には25自治体が無料通信アプリ「LINE」を使うとし、5自治体は匿名でいじめなどを通報するアプリを使うとした。 相談の実施時期や対象者は自治体によって幅があるが、その多くが夏休み中か、その前後の期間を含めていた。夏休
「お互いさまのまちづくり」が人口減少社会を押しとどめる――。そんな信念を持って地域社会と医療現場の距離を近づけようと活動する看護師らが埼玉県草加市にいる。老若男女、誰でも駆け込んで来られるようにとグループ名は「みんなの保健室 陽(ひ)だまり」。健康とおしゃれを考えるファッションショーや昭和の歌コンサートなど、活動の幅は広い。 代表は草加市在住の看護師服部満生子さん(73)。宮城県生まれで、都内や埼玉県内の医療施設に勤務。医療大学で看護教員をした経験を持つ。2015年に退職した後、経験を地域の活動につなげたいと考えた。東大公共政策大学院で地域包括ケアシステムなど医療政策の研究も重ねた。並行して草加市立病院勤務時の元同僚らの協力を得てスタッフを集めた。 そのさなか、服部さんに転機が訪れる。乳がんになった。全摘手術を受け、抗がん剤治療を始めた。自分が患者になって初めて、医療従事者と患者の意識のギ
出所者の社会復帰を助けるNPO法人「マザーハウス」(東京都墨田区、五十嵐弘志理事長)は、出所者支援の一環として同事務所の隣に開設するカフェの改装費集めに、不特定多数の出資者を募るクラウドファンディングを活用する。カフェは「マリアカフェ」と名付け、当事者主体のコミュニティカフェとして、ミーティングやカウンセリングを行うほか、加害者家族やいじめ、ドメスティックバイオレンス(DV)被害、生活保護などに関する相談も受け付ける。 利用予定のスペースは、これまで倉庫として使われていたため、壁も床もコンクリートがむき出しでトイレやエアコンなどの設備も整っていない。現在は当事者スタッフ総出で塗装工事をしている段階だ。目標額は300万円で、出資額は1口2千円から。 5口以上の出資者には、受刑者が描いた世界に1つだけの絵画を使用した「獄中POSTシリーズ」ミニセット(ポストカード1枚、封筒1枚、便箋10枚)2
終戦時の混乱で旧満州(現中国東北部)などに取り残され、日中国交回復後に永住帰国した残留孤児らを対象に、厚生労働省は昨年度から介護施設に出向いて中国語で話し相手になる「語りかけボランティア訪問」を始めた。残留孤児の平均年齢は76歳(2015年度)と高齢化が進んでおり、介護施設で言葉の壁や生活習慣の違いから孤立感を深める人も増えている。こうした人を訪問して不安や負担を軽減し、介護サービスを利用しやすくするのが狙いだ。 8月7日昼ごろ、福岡市博多区のデイサービス施設で、中葉(なかば)日出子さん(75)は語りかけボランティアの大石れい子さん(68)の訪問に笑顔を見せ、「身内のよう。うれしい」と中国語で出迎えた。
(株)グローバルエージェンツ(東京都渋谷区)は、首都圏を中心に展開する隣人交流型賃貸住宅「ソーシャルアパートメント」40棟目となる「FILMS(フィルムス)和光」を、本年10月にオープンする。 ソーシャルアパートメントは、従来型のワンルームマンションやシェアハウスとも異なり、賃貸マンション内にデザイン性の高いキッチンやラウンジなどの共用スペースを備え、住人間の自発的なコミュニティ形成を促進させる仕組みを持った共同住宅。 「FILMS和光」のコンセプトは「ソーシャルアパートメント×映画館」。映画館で暮らしているような非日常的な生活を演出するという。約40m2以上の広々とした空間に実際の映画館でも利用されているシネマチェアを20席配置、4Kプロジェクターやサラウンドスピーカーを擁した音響設備など、映画館さながらの空間を再現。入居者同士でこだわりの作品を選んで上映することも可能だ。 入り口には劇
一人暮らしの高齢男性の30・3%が、電球交換や雪かきなど「日頃のちょっとした手助けで頼れる人」がいない――。国立社会保障・人口問題研究所は10日、こんな調査結果を明らかにした。同じ状況の女性で「いない」と回答したのは9・1%にとどまっており、男性が孤立しやすい傾向が浮かんだ。 同研究所は昨年7月、5年ごとに行っている「生活と支え合いに関する調査」を行い、1万369世帯、18歳以上の1万9800人から回答を得た。64歳以下の一人暮らしの人を比べても、男性は22・8%が頼れる人が「いない」と答える一方、女性は9・9%で、同じような傾向だった。同研究所の担当者は「母親の方が、子どもと連絡がとりやすいからではないか」と話している。(西村圭史)
文科省の「通知」とは、教育委員会を通してすべての小中高へ送付される行政文書のこと。「行政の意向」を現場に伝える手段となっている。これまで文科省は「学校復帰」の文言を含む通知を2003年から2016年8月にかけて4度、出していた。 その後、国会では不登校に関する初めての法律「教育機会確保法」が成立。2017年3月に策定された同法の基本指針では、同法とその付帯決議を根拠に「学校復帰のみ」にこだわらない新しい不登校対応が必要であることが明示された。なお、基本指針だけでなく新学習指導要領においても、新しい不登校対応の方針が示されている。 学校復帰前提の不登校対応が しかし、学校現場において、依然として不登校対応の絶対的な目標は「学校復帰」であり、それは教員にも浸透されている。新しい不登校対応の指針について、教員からは「知らなかった」「これまでとは正反対の不登校対応で、どうしたらいいかわからない」な
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