災害時に課題 聴覚障害者らでつくる四国ろうあ連盟(事務局・香川県観音寺市)などが、四国4県の手話の「方言」をイラストで紹介した冊子を発行した。全国各地でそれぞれ発展した手話は意味や表現が異なることがあり、災害など緊急時のコミュニケーションで課題となっている。同連盟は地域の手話を継承するとともに、南海トラフ巨大地震などに備えて手話通訳の混乱を防ぎたい考えだ。【山口桂子】 全日本ろうあ連盟によると、聴覚障害者は全国に約35万人おり、うち約7万人が手話を使う。同じ言葉でも地域によって表現の仕方が異なることがあり、全国共通の「標準手話」の指定が1969年から日本手話研究所(京都市)によって進められている。だが、周知の機会が少なかったり、時代とともに新たな表現が必要になったりするため、身近な生活環境にある手話を先に習得するケースも多いという。
生まれつき両耳が聞こえず、同性愛者でHIV(エイズウイルス)患者の男性が、聴覚障害のある人たちにも、多様な性について理解してほしいと活動している。手話では性的少数者に関する表現がまだ浸透していないため、「性的少数者について知らなければいつの間にか差別につながる」と自ら手話で伝えている。 守口市の國分由貴(ゆたか)さん(45)は、福島県郡山市で生まれた。父、母、妹も生まれつき耳が聞こえない。小学校時代、「訓練すれば声を出せるようになる」という祖母の家で育てられた。両親と会えず、友だちと遊べず、練習漬けでしゃべれるようになった。厳しい祖母に反発もしたが、世界を広げてくれたことに感謝している。 小学6年の頃、祖母の体調が悪化し、両親のもとに戻った。進学した中学校では、聞こえないことを理由にいじめを受けた。 高校卒業後、ネジ製造、金融…
全国の自治体で「手話言語条例」の制定が広まる中、乳幼児期の手話習得の機会を行政が確保するという全国初の取り組みを盛り込んで3月に施行された大阪府の条例に注目が集まっている。手話は独自の文法を持つ言語だが、使用が禁じられた歴史を背景に、習得に関する法的な規定はなく、民間任せなのが現状だ。府は民間のノウハウを活用し、来月から乳幼児と保護者を対象にした「手話教室」を始める予定で、当事者団体からは「画期的な条例。全国に広がってほしい」と期待が寄せられている。(藤井沙織) ■民間と連携 子供たちが一心に見つめるのは絵本と手話。無音の読み聞かせが終わると、手を動かしながらうれしそうに笑った。 京都市の社会福祉法人が2年前に始めた聴覚障害のある乳幼児と保護者らの集いの場「にじっこ」での1シーン。「子供たちは手話での会話を楽しむようになり、保護者もどんどん明るくなっていく」と自身も聴覚障害のあるスタッフの
山形の聴覚障害者支援団体「HAPUNE」 熊本地震で被災した聴覚障害者に役立ててもらおうと、山形県の聴覚障害者支援団体「HAPUNE」(ハプネ)の佐藤万美(まみ)代表(39)が被災者向けの支援物資などの情報を手話と文章で伝える動画サイトを開設した。自身も聴覚障害がある代表の佐藤さんは「必要な情報が入らずに苦しんでいる聴覚障害者への理解を深めてほしい」と呼び掛ける。 佐藤さんは2011年3月に東京で東日本大震災を経験した時、テレビ映像に字幕の被害情報が流れないことに気付いた。宮城県で被災した聴覚障害がある友人からも「自治体の配給情報は音声で伝えるだけで、よく分からない。とても不安だ」と連絡があり、インターネット上で被災地の情報を集めては友人に伝えた。
手話で交流できる常設の場をつくろうと、県聴覚障害者協会は2015年12月、地域活動支援センター「紀州の手」を中ぶらくり丁にオープンした。県内初の聴覚障害者専用デイサービスで、福田美枝子会長は「手話で楽しくおしゃべりができ、ストレス発散や生きがいになると喜ばれています。他地域にも広げたい」と意気込んでいる。 聴覚障害者にとって、気軽に手話で話せる場は少なく、特に高齢者は老人施設に通っても職員や利用者と会話できず、孤立することが多い。同協会は2012年から月2回、交流サロンを開く中、常設の場を求める声を受け紀州の手を開設した。 和歌山市に住む18歳以上の聴覚障害者と重複障害者対象で、20~80代の31人が利用。午前は手芸や体操など講師を招いた教室、昼食後は自由時間を設けている。利用者の馬場恵美子さん(62)は「ここなら思い切りおしゃべりでき、情報交換の場にもなります。高齢の人にもっと来てほしい
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