Webライターの木下です。 第5回は重症心身障害児・者施設の歴史についてです。 制度の谷間にいた重症心身障害児 1947年(昭和22)の「児童福祉法」によって「精神薄弱児施設」が急速に全国に設置され、その後1960年(昭和35)に制定された「精神薄弱者福祉法」により「精神薄弱者援護施設」の設置が始まり、児童も成人も含めて知的障害者の福祉施策は、徐々に整っていきました。しかし、重度の重複障害児は、つねにその処遇が後回しにされていました。 重度の重複障害児を表すのに、「重症心身障害児(重症児)」という言葉が使用されるようになったのは1958年(昭和33)からです。戦後まもなくは、その概念さえもなく、重度の肢体不自由と精神薄弱の両方がある重症児は、公教育からは排除され、医師からは治療は無意味とされました。さらに、肢体不自由児施設からは精神薄弱があるからと拒否され、精神薄弱児施設からは肢体不自由が