岐阜市は、「自閉症・情緒障がい特別支援学級」「LD(学習障害)・ADHD(注意欠陥多動性障害)等通級指導教室」への通学を決定する際、提出を義務付けている診断書の独自の様式を作成した。中核市では全国初の取り組みという。【高橋龍介】 診断書は、障害の区分や程度を教育委員会の付属機関の就学指導委員会が判断し、教育委員会が学校の決定をする際の資料となる。従来は医師の診断書などを基に判断していた。 市教育委員会によると、これまでは小児科、精神科、内科の約30人の医師が診断書を書いていた。時期が年度末に集中し、該当する子どもの数も増加傾向にあることなどから、保護者が医療機関に予約を入れ、受診と診断書を受け取るまで、最長6カ月かかる場合もあった。また「発達障がい」とあるだけで、具体的な病名の記載がないなどの診断書も見られたという。
バギーに乗り、高さのある机に向かって友達と一緒に学ぶ府川理央さん(手前から2人目)=宇都宮市立宮の原小で2017年12月8日午前10時15分、高橋隆輔撮影 筋力が低下して呼吸や歩行が困難になる難病「先天性ミオパチー」の影響で人工呼吸器を手放せない宇都宮市内の小学生が、周囲の支えで通常学級に通っている。同市立宮の原小2年、府川理央さん(8)。人工呼吸器を使う児童が通常学級に通うことは現状、ほぼ認められていないが、「うちに通いたい子を断る理由はない」という学校側の配慮で、たくさんの友達と一緒に学び、成長している。 昨年12月8日、同小2年1組であったコミュニケーションを学ぶ会話の授業。最近できるようになったことを聞かれた理央さんは「サッカー」と答えた。「ボールを蹴る距離が伸びた」と身ぶりを交えて説明。授業の終わりには手を挙げ、「言葉と巡り合える大切さが分かりました」と感想を発表した。
人工呼吸器をつけた「医療的ケア児」が学校に通える機会を広げようと、厚生労働省研究班が東京、埼玉など4都県の特別支援学校などで支援を始める。保護者に代わって看護師がケアを担えるようにし、来年度にも制度化につなげたい考えだ。 おなかに穴を開けて胃に管で栄養を入れる「胃ろう」や人工呼吸器などが必要な医療的ケア児が、公的医療保険で訪問看護を受ける場所は自宅に限られる。学校などは対象外なため、親が学校に付き添って、たんの吸引など医療ケアを行っていることが多い。 文部科学省は2013年度から自治体が看護師を雇って特別支援学校に配置する費用を補助したり、12年度から教員が医療的ケアを行えるよう研修制度を導入したりしているが、人工呼吸器をつけた医療的ケア児の通学は広がっていない。 研究班は、人工呼吸器をつけた医療的ケア児が親の付き添いがなくても通学できるよう、①日ごろ自宅で看護をしている訪問看護師が学校に
子供の発達障害を早期に発見するため、文部科学省は小学校入学前に行う就学時健康診断の実施方法を見直すことを決めた。 問診を含む検査内容を充実させるとともに、同意を得た保護者から乳幼児健診の結果を学校へ提出してもらうことなどを検討している。文科省は年度内に就学時健診の手引書を改訂し、2019年度入学者からの実施を目指す。 発達障害は学習につまずいたり、不登校やいじめにつながったりする恐れがあるため、早期の発見と支援が必要とされる。しかし、これまでは就学時健診と乳幼児健診の連携がなく、発達障害を見逃す可能性もあると指摘されていた。文科省が12年に実施した調査では、公立小中学校の通常学級に在籍する児童生徒の6・5%に発達障害の可能性があることが判明した。
バーチャルリアリティー(仮想現実、VR)の技術で水族館を疑似体験してもらう出前授業が6日、横浜市立浦舟特別支援学校(南区)で開かれた。隣の市民総合医療センターの院内学級とも中継でつなぎ、2カ所で小中学生5人がVRを楽しんだ。 VRは、五感に働きかけてリアルな疑似体験ができる技術。金沢区の横浜・八景島シーパラダイスと朝日新聞社が協力し、シーパラで人気のカマイルカやサメなどの水槽の映像を用意。生徒たちは、両目を覆うゴーグル型の機器をのぞいて水槽の中のような仮想空間を体験し、シーパラの元飼育員の解説で、魚の歯やサメの生殖器を観察したり、クマノミのしぐさに歓声を上げたりしていた。 同校は、入院して院内学級に通った後、学区の中学校などに戻る準備期間として通う学校。シーパラを訪れたことがないという中学3年の男子生徒は「世界観に入り込めて、これがVRかと思った。魚の説明も聞けてよかった」と話した。 企画
難病の子の自立支援を盛り込んだ改正児童福祉法が2015年1月に施行されて2年半。「平等な教育機会の確保」に向け、社会はどう取り組んできたか。東京都内で3日、シンポジウム「福祉と教育をつなぐ就学支援」(NPO法人難病のこども支援全国ネットワーク主催)が開かれ、現状と課題が報告された。 ●病弱学級新設例も 福井県特別支援教育センターの西尾幸代所長は、県内全17市町に設置されている「教育支援委員会」について説明した。就学支援を必要とする子が5歳児になる4~5月に相談担当委員が決まり、保護者と面談したり、保育所・幼稚園から聞き取ったりして就学先を検討する。すべての自治体にセンターの指導主事が入り、どこでも同じ水準の支援を受けられるのが特徴だ。特別支援教育センターは、幼児期からの発達支援を担う「こども療…
障害が比較的重い子どもが通う「特別支援学校」で深刻な教室不足が続き、2016年10月現在、3430教室が足りないことが文部科学省の調べでわかった。特別支援学校の在籍者が近年急増し、教室数が追いついていない。同省は教育に支障が出るおそれがあるとして、教育委員会に補助金の活用などによる教室不足の解消を求めている。 特別支援学校小、中学部の1学級は6人が上限で、重複障害の場合は3人。幼稚部から高等部までの在籍者は15年に13万8千人で、10年で1・36倍になった。特に知的障害のある子が増え、全体の9割を占める。比較的障害が軽い子が通う小中学校の特別支援学級の在籍者も15年に20万1千人で、10年で約2倍になった。 背景には、障害の診断が普及したことがある。障害があると診断されると、支援が得やすい教育を望む保護者が増えたとみられ、「特別支援教育への理解が深まった」(文科省担当者)との見方がある。
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神戸市教育委員会は2日、人工呼吸器による呼吸管理や導尿など、医療的なケアを必要とする児童・生徒がいる市内の小中学校5校に看護師を週1回派遣する「医療的ケア支援事業」を始めた。 市教委によると、医療ケアが必要な児童・生徒は市内に5人。これまでは看護師免許を持つボランティアや保護者が学校に付き添い、介助を行ってきた。 保護者の負担を軽減しようと、市教委は訪問看護ステーションと契約し、看護師を週1回、学校に派遣することにした。派遣先は東灘区の中学校1校と北区、垂水区、西区の小学校4校。夏休み中に保護者らと協議し、2日から事業を始めることになった。
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