『ルポ 保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル(朝日新書)』(秋山千佳/朝日新聞出版) 保健室で保健の先生と話すと、なんだか安らぐ。なんでも聞いてくれそうな雰囲気が嬉しい。今も昔も、学校にいる生徒たちの緊張がちょっと解きほぐされる場所、それが保健室だ。 『ルポ 保健室 子どもの貧困・虐待・性のリアル(朝日新書)』(秋山千佳/朝日新聞出版)によると、近年、保健室の様子が変わってきているようだ。この頃、マスクを常に装着している若者をよく見かける。マスク着用は、2009年の新型インフルエンザ騒動で一気に広まった。騒動はとうに終息し、風邪でもないのにマスクで顔を隠す理由は、自尊感情が低く、顔をさらすのが怖いからではないか、といわれる。そんな“マスク依存症”の生徒たちの中で、自宅から装着せず、毎日わざわざ保健室にマスクをもらいにくる生徒が増えているというのだ。本書によると、生徒にとってマスクは保健の