震災で妻を亡くした阿部英敏さん。子育てによる仕事の制約は大きく、収入も大きく減ったという=宮城県東松島市で、宇多川はるか撮影 男の育児は子供に迷惑なのか。乳幼児の養育を巡り27日、自民党の萩生田光一幹事長代行から飛び出した「迷惑」発言。世の中には母を亡くし、あるいはさまざまな事情から母と別れ、父に育てられる子がいる。父子家庭の当事者たちから「心ない言葉だ」との声が上がっている。【宇多川はるか】 萩生田氏の発言は宮崎市での講演で出た。いわく「言葉の上で『男女共同参画社会だ』『男も育児だ』と格好いいことを言っても、子供には迷惑な話だ。子供がお母さんと一緒にいられるような環境が必要だ」。 当事者団体「全国父子家庭支援ネットワーク」の村上吉宣代表(38)=仙台市=は「悪意があったわけではないと思う」と前置きしつつ、「傷付いている人はたくさんいるでしょう」と話す。
汚れたおむつ、さまざまな難しい問題、学校までの送り迎え──シングルファーザーたちも、多くの心配事を抱えている。その父親たちに、さらに追い打ちをかけるような事実が明らかになった。 カナダ・トロント大学の研究チームが子供を持つ男女およそ4万人を対象に行った調査の結果、シングルファーザーが早死にするリスクはシングルマザーやパートナーと一緒に子育てをしている人たちと比べ、2倍以上高いことが分かった。 公衆衛生に関する専門誌、ランセット・パブリック・ヘルスに掲載された調査結果によれば、研究チームはシングルファーザー871人とシングルマザー4590人、パートナーのいる父親1万6341人、パートナーのいる母親1万8688人を対象に、11年間にわたる追跡調査を行った。その際、25歳未満の実子または養子1人以上と暮らすパートナー不在の成人を「片親(ひとり親)」とした。 調査期間中に死亡したシングルファーザー
国立社会保障・人口問題研究所は先月「世帯数の将来推計」(2018年推計)を公表した。15~40年の間に単独世帯は34・5%から39・3%に、「ひとり親と子」(成人の子を含む)世帯は8・9%から9・7%に上昇する。一方、1980年には4割強を占めた「夫婦と子」世帯は23・3%にまで減少すると予測され、もはや標準家族とはいえない時代に移行していく。“多様な家族の共生社会”をいかに築いていくのかは重要なテーマだ。 しかし、日本では離婚を「バツイチ」などと称する風潮があるように、夫婦と子の世帯を標準とみる意識は根強い。先進諸国では、家族形態の変容に伴い、社会保障制度や婚姻の諸制度を改革する動きがあるが、日本では人々が制度に合わせて生きざるをえないほど改革は進まず、選択的夫婦別姓の法的保障すら実現していない。
シンママ家庭より厳しい環境が多いシングルファーザー家庭 独立行政法人労働政策研究・研修機構の調査によると、母子世帯の母親の就業所得平均額は236万1000円、父子世帯の父親は376万5000円となっている(「第3回(2014)子育て世帯全国調査」のよる) この数字からは、たしかに父子世帯のほうが経済的に余裕があるように見えるが、果たしてその生活の実態はどうなのだろうか。シングルファーザーが抱える悩みや問題は、シングルマザーとどのような違いがあるのだろうか。 同調査の父子世帯の父親の有業率をみると、2011年には94.5%、2012年には96.8%だったものが、2014年調査では88.2%に下がっている。これはシングルファーザーは長時間勤務の仕事を続けにくいという実情と関係があるのかもしれない。 「離婚後も仕事を続けたいが、子育てとの両立がままならない」から、「会社を辞めて時間的に余裕のある
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