低所得世帯の高校生を対象にした都道府県の「奨学給付金」に支給漏れがあることが、文部科学省の調査でわかった。制度の周知不足で保護者が申請できなかったケースが多いとみられ、2016年度は全国の私立高校生だけで約2万人、推計約12億円に上る。文科省は専門家会議で対応策の検討を始めた。 国公立の高校生は実態が把握できておらず、実際の支給漏れはさらに多い可能性が高い。政府は今後、私立高校授業料の実質無償化を進める方針だが、現行の支援策が十分に活用されていない実態が浮かんだ。 高校生の支援策には主に、国が授業料を補助する「就学支援金」と、都道府県が教材費や学用品代などを支給する「奨学給付金」がある。いずれも返済不要で、非課税世帯(年収目安が250万円未満)の場合は、両方とも受給できる。 文科省によると、16年度に国の支援金を受けた非課税世帯の私立高校生は約15万1200人。これに対し、都道府県の給付金