兵庫県姫路市在住の漫画家、古林海月(かいげつ)さん(49)が、ハンセン病をテーマにした長編漫画「麦ばあの島」(すいれん舎)を出版した。岡山県瀬戸内市の国立ハンセン病療養所「邑久(おく)光明園」が主な舞台で、国の隔離政策で故郷から離された患者の苦しみや、残された家族にまで及んだ差別が描かれている。療養所の入所者ら約20人に取材し、12年かけて完成させた。古林さんは「漫画をきっかけにハンセン病を身近な問題と感じてもらいたい」と話す。【椋田佳代】 中絶を経験した短大生の聡子が、療養所を退所して理容室を営む高齢女性の麦と出会い、心を通わせるストーリー。隔離政策を定めた「らい予防法」が廃止された1996年の時代設定だが、麦の回想を通して戦前の療養所の生活が描かれる。