お寺の本堂で仏教の話をせず、社会問題について考えるイベントを始めた寺院がある。浄土真宗本願寺派の西正(さいしょう)寺(兵庫県尼崎市)。参加者の大半は信徒ではなく、会員制交流サイト(SNS)でつながった住民ら。仏法にまつわる法話ではなく、地域コミュニティーや性的少数者(LGBT)などの講演を聞き、車座になって感想や意見を語り合う。昔と比べて住民との関係性が薄れたとされる現代のお寺は、地域でどんな役割を果たせるのか。模索が続いている。(小野木康雄) SNSでつながる 10月のある土曜の夜。仏像が安置された西正寺の本堂に、世代や職業を超えた約30人が集まった。多くは信徒ではない。SNSでつながりを求め、集った尼崎の住民だ。 この日のテーマは自殺対策。電話相談に取り組むNPO法人理事の講演を聞いた後、4〜5人ずつに分かれ、感想を語り合った。 「自殺はダメと言われると、逆に生きづらくなる」 「社会の