ロボットが、ダークサイドに堕ちた人間を更生させていく。SF映画のように犯罪者を管理下に置く話ではない。ロボットが犯罪者に寄り添い、再犯防止を目指す「更生ロボット」。法務省保護局の官僚が発案した意外なプロジェクトである。 ロボットが私たち人間の心理を変化させることなどありえるのか? そう思われるかもしれないが、驚く話ではない。例えば、世界的に注目されているロボット学者、大阪大学大学院の石黒浩教授は、すでにアンドロイドの存在が人間にもたらす行動を研究し続けている。 最高検察庁から2014年に法務省保護局長に就任した片岡弘は、「犯罪白書」の「入所受刑者の罪名別構成比 平成27年度版」という数字を見せてくれた(P38上の図を参照)。男女ともに「窃盗」と「覚醒剤」の合計が半数を超える。特に女性は80.3%と多い。 局長室で片岡が説明する。「窃盗と覚醒剤は、半数近くの者が再犯に及びます。こうした犯罪の