僕は買い物依存症かもしれないと思うことがある。もちろん大学教員の常として裕福ではないから、買えるものには限りがある。何十万円もするスーツとか何百万円もする腕時計を買うわけではない。 着るものはたいてい新宿伊勢丹のコム・デ・ギャルソンで買うけれども、インナーはムジ(MUJI)ですませる。それでも、季節ごとにジャケットやスーツを何着か買わないと気がすまない。ムジでは気に入ったシャツは同じものを何枚か買ってしまう。最近はアニエス・ベーのTシャツにも凝っている。でも、タンスの肥やしになることが多い。消費が僕たちの都市との関わり方の一つであることは都市論の説くところだから、そういう側面もあるのだろう。しかし、それだけではない。その服を着た、まだ見ぬ未来形の自分の姿が僕をとらえるのだと思う。 書店も同じだ。町の書店では、そこにある本は入る前から予想がつく。ベストセラーと雑誌と実用書と文庫と、それに新書