米海兵隊が駐留する米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設をめぐり、政府と沖縄県の翁長雄志知事が対立を深めている。政府は「抑止力維持と普天間の危険性を除去する唯一の解決策」を唱えるが、翁長氏は「安倍晋三首相のかたくなな固定観念だ」と反発する。沖縄の海兵隊は中国への「抑止力」となっているのか。慶応大准教授で安全保障に詳しい神保謙氏と、元官房副長官補の柳沢協二氏に聞いた。(千葉倫之、台北 田中靖人) 海兵隊は日本防衛の中核 慶応大准教授・神保謙氏 --沖縄に駐留する米海兵隊の抑止力をどうみるか 「抑止効果は非常に大きい。4月末に改定された日米防衛協力のための指針(ガイドライン)でも、平時からグレーゾーン、小規模有事、大規模有事という流れに切れ目なく対応することがうたわれている。事態ごとに必要な能力は異なり、その継ぎ目を埋めるためには陸海空の統合運用が重要になる。事態が急速に展開