毎日新聞のニュースサイトに掲載の記事・写真・図表など無断転載を禁止します。著作権は毎日新聞社またはその情報提供者に属します。 画像データは(株)フォーカスシステムズの電子透かし「acuagraphy」により著作権情報を確認できるようになっています。
95年の人生で、国葬を経験するのは天皇や皇族を除けば5度目となる。京都府八幡市の元高校教諭、小畑哲雄さんは静かに、きっぱりとした口調で語った。「人の死を国や政治のために利用するのは絶対にあかん」。27日に近づいた安倍晋三元首相の国葬。戦前、戦中、戦後を生きてきた古老の目に映る国葬の「危うさ」とは何なのか。 国葬で戦意高揚、若者を戦地に 校庭に丸刈りの男子生徒約1200人が整列した。1943年6月5日、旧制熊本県立熊本中学(現県立熊本高校)。鈴が鳴り、教師が「黙とう!」と呼び掛けると、生徒らは静かに目を閉じた。当時15歳の小畑さんもそこにいた。 この日、東京の日比谷公園では元連合艦隊司令長官、山本五十六の国葬が営まれていた。 旧日本海軍を率いた山本は、太平洋戦争で真珠湾攻撃などの作戦を指揮し、同年4月に戦死。26年に制定された「国葬令」は国家に「偉勲のある者」に対し、天皇の特別な意向として国
安倍晋三元首相の遺影が置かれた自民党安倍派の会合に臨む塩谷立会長代理(奥右端)と下村博文会長代理(同左端)=東京都千代田区で2022年7月21日、竹内幹撮影 安倍晋三元首相の国葬が27日に執り行われた後、自民党には政局が動く気配が漂いそうだ。あるじなき最大派閥の安倍派(清和政策研究会、97人)は、分裂への序章に進むのか。そこには岸田文雄内閣の支持率急落や、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題、安倍派の後見人、森喜朗元首相の五輪汚職捜査など複雑な要素が絡み合う。 「数を誇ってはいけない。これだけ数があれば何でもできると思ったところから、崩壊が始まる」。森氏は5月17日、東京都内であった安倍派の政治資金パーティーであいさつし、100人近くに膨れ上がった派閥の行く末を案じてみせた。 「私も森先生の言葉を間近で聞いていましたが、今思えばまるで予言のようですね。私たちにも、分裂するかもしれないとい
新型コロナウイルスに感染し、コロナ対策や自身の旧統一教会を巡る報道などについてオンラインで取材対応をする岸田文雄首相=首相官邸で2022年8月24日午後1時56分、竹内幹撮影 切羽詰まると「女性活躍」や「女性登用」が吹き飛ぶ。これが私の持論だ。岸田文雄首相が8月10日に踏み切った内閣改造で、閣僚19人中女性はたったの2人。昨年の政権発足時も3人と少なく、その後閣僚枠が減って1人が辞めて2人になっていた。 「多様性の尊重」を掲げた岸田首相。ところが、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)問題で支持率が低下し、切羽詰まった。最大派閥の安倍派と党内バランスに配慮し、「女性登用」どころではなくなった。 参院選直後の7月13日、世界経済フォーラムが2022年版「男女格差(ジェンダーギャップ)報告」を発表した。日本は146カ国中116位、政治分野では女性議員・閣僚が少なく139位だった。そのなかでの内閣改
「aiwa(アイワ)」のロゴをつけたスマートフォンが出る。電子機器受託製造のジェネシス(本社・東京都千代田区)がオーディオ製品を展開する「aiwa」のブランドライセンスをこのほど取得。「aiwaデジタル」のブランドを立ち上げて、スマホ、タブレット、スマートウオッチ、パソコンを製造する。 第1弾となる製品は低価格を特徴にしたものが多い。スマホは1万6800円で、同社の公式オンラインストアで9月7日に販売する。 「aiwa」のライセンスを得る オーディオ機器メーカーの旧アイワは1951年に設立。しかし業績悪化により69年にはソニーのグループ企業となった。今で言う「サブブランド」に近い位置づけで、ソニーよりリーズナブルな商品を展開。その後、再びの経営不振で、2002年にはソニー本体に吸収され、08年にはブランドも終了した。 17年に、アイワの商標権を秋田県の十和田オーディオ(本社・秋田県小坂町)
2025年大阪・関西万博会場のシンボルになる大屋根の内部のイメージ図。来場者として外国人や家族連れは描かれているが、車いす利用者らの姿は見当たらない=2025年日本国際博覧会協会提供 2025年に開催される大阪・関西万博のバリアフリー化に関するガイドラインを巡り、公表直後に事実上の「やり直し」を求められる事態が起きた。きっかけは、障害者に向けた配慮が「東京オリンピック・パラリンピックよりも後退している」と外部から指摘されたことだという。何があったのか。 障害者団体にヒアリングせず ガイドラインは21年7月、万博を運営する「2025年日本国際博覧会協会」(大阪市)が発表した。年齢や障害に関係なくすべての人が施設を使いやすいよう、通路幅や勾配といった会場整備に関する基準を定めたものだ。 ところが、国内の障害者団体には事前のヒアリングがなく、「寝耳に水」の発表だったという。障害者の意見を踏まえて
記者会見で旧統一教会問題について説明する岸田文雄首相の映像を流す街頭テレビ=東京都千代田区で2022年8月31日午前11時7分、吉田航太撮影 7月の参院選で与党は大勝し、憲法改正に前向きな自民、公明など「改憲4党」で、改憲発議に必要な3分の2の議席を維持した。凶弾に倒れた安倍晋三元首相の悲願として改正が現実味を増すと思いきや、皮肉にも足かせになりそうなのが、元首相と関係が深く、改憲を掲げる「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」の問題だ。 「大学時代の岸田文雄首相は、自分から発言する目立つタイプではなかったと、当時所属したゼミの担当教授から聞いたことがあります」。そう話すのは、岸田首相の母校、早稲田大の教授(憲法)、水島朝穂さん(69)である。やはり、昔も今も特技は「聞く力」だったのか。 検討ばかりで実行に移さない「検討使」とやゆされる岸田首相。水島さんは、先頭に立って改憲を目指すというのは
8月に84歳で亡くなった世界的デザイナーの三宅一生さんは、多くの後進を育てたことでも知られる。「三宅学校」とも言われた人材育成の秘訣(ひけつ)は何か。経済界でも後継者不足が指摘される今、三宅さんの精神から学ぶべきことを考えた。 三宅さんが1971年に立ち上げたブランド「イッセイミヤケ」は、73年にパリコレクションに進出して以来、世界のトップブランドの一つとして注目され続けた。そして99年、三宅さんはそのデザインを二回り近く年下の滝沢直己さん(62)に引き継いだ。 国際的に活躍する日本人デザイナーを見ると、パリで高く評価された「コムデギャルソン」の川久保玲さん、「ヨウジヤマモト」の山本耀司さんはいずれも、今も創業したブランドのデザイナーであり続ける。 一方、三宅さんが2代目の滝沢さんにブランドを託したのは61歳の時。現役のうちは自らが生んだブランドのデザインを続ける例が多い中、三宅さんの交代
一つの画面に二つの電卓が並ぶいっぷう変わったアプリが、米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」と、タブレット端末「iPad(アイパッド)」で公開され、人気を呼んでいる。その名は「ダブル計算機」。開発したのは、兵庫県の63歳の男性だ。リリース後しばらくはダウンロード数が伸び悩んだが、ある改良を加えたことで数が大幅に増えた。その一工夫とは――。【後藤豪】 まず、機能を確認しておこう。画面中央に表示される「→」や「←」の矢印キーをタップすると、計算結果をもう一方の電卓に移すことができる。たとえば、片方の電卓で「89×15=1335」を計算し、矢印キーをタップすることで計算結果の「1335」がもう一方の計算機に表示される(写真1)。そこから計算を続けられる。入力した計算式が表示されたままなので、ミスに気づきやすい。 また、それぞれの計算機で別々の計算をすることも可能だ(写真2)。
英国の女王エリザベス2世が8日夕(日本時間9日未明)、滞在先の英北部スコットランドのバルモラル城で死去した。96歳だった。死因は明らかにされていないが、英王室は「安らかに息を引き取った」と発表した。1952年から70年と約7カ月に及んだ在任期間は、英国の歴代君主として最長。世界の君主としてはフランスのルイ14世(在位1643~1715年)の72年と110日に次ぎ、史上2番目の長さだった。 女王死去を受け、王位継承権1位の長男チャールズ皇太子(73)が新国王「チャールズ3世」として即位した。新国王は「慈しまれた君主であり、多くの人々に愛された母の死を深く悼む。英国民、そして世界の人々が喪失を感じるだろう」との声明を発表した。
安倍晋三元首相の国葬をめぐって、岸田文雄首相は国会の閉会中審査に出席しました。首相が閉会中審査に出席するのは異例です。批判の高まりに答えざるをえなくなったためです。 内心の自由と弔意 一番の問題は弔意の強制への懸念です。首相は8月31日の記者会見で、「国民に弔意を強制するものではない」と強調しました。国民に対して弔意の表明を求める決定も見送りました。しかし、国葬当日は各府省庁で弔旗を掲揚し、葬儀中の一定時刻に黙とうします。こう聞くと釈然としない人もいるでしょう。 安倍氏の死に弔意を示すことも、示さないことも自由なはずです。2020年10月に行われた中曽根康弘元首相の「内閣・自民党合同葬」では、文部科学省が国立大に弔意表明を求める通知を出し、問題となりました。 今回の国葬では世論が二分されていますが、反対が多いか、少ないかという問題ではありません。仮に反対が少数であっても、内心の自由が関わっ
多くの人たちが列を作った年末ジャンボ宝くじ売り場=名古屋市中村区の宝くじ名駅前チャンスセンターで2018年11月21日午前9時46分、兵藤公治撮影 突然ですが、「宝くじ」って買ってますか? 年末ジャンボやサマージャンボなどを購入し、高額当選した時のことを夢見ている人も多いのではないでしょうか。その「宝くじ」の売り上げが近年、減少傾向にあり、購入者の高齢化も進んでいるといいます。人気回復のカギはどこにあるのか。9月2日の「宝くじの日」に合わせ、世代・トレンド評論家の牛窪恵さんと考えました。【聞き手・後藤豪】 草食系世代「コスパに合わない」 ――宝くじの購入者ですが、60代以上が占める割合が2004年の25%から19年は41%に増加したのに対して、30代以下の割合は04年の36%から19年には23%に減少したとの調査結果があります。購入者の高齢化をどうみますか。 ◆宝くじというのは、確率論から
銃撃され死亡した安倍晋三元首相に対する追悼演説が人選を巡る混乱の末、秋に先送りされた。自民党側は安倍氏と親交の深かった甘利明前幹事長で調整していたが、与野党双方から反発が出て撤回せざるを得なかった。識者は「この混乱そのものが政治不信の象徴」と話す。どういうことか。追悼演説の歴史をたどった。 「対立政党から選定」慣習 安倍氏の追悼演説を巡っては、自民党の高木毅国対委員長が7月20日に立憲民主党の馬淵澄夫国対委員長との会談で8月3日召集の臨時国会の最終日に行うことを提案した。だが、自民側が安倍氏と親交の深かった甘利氏で調整中との報道が出ると、与野党双方から批判が噴出。秋の臨時国会への先送りが決まった。 そもそも追悼演説とは何か。衆議院事務局によると、特別な定めはなく、現役の国会議員が死去した際に、慣例として本会議で行われてきた。参議院では哀悼演説と呼ばれる。「平成29年版衆議院先例集」によると
リリース、障害情報などのサービスのお知らせ
最新の人気エントリーの配信
処理を実行中です
j次のブックマーク
k前のブックマーク
lあとで読む
eコメント一覧を開く
oページを開く