米朝首脳会談は幕を閉じた──。このイベントで得をしたのは米国か、それとも北朝鮮か。おそらく、そのどちらでもない。真の受益者は、シンガポールだ。現地シンガポールからレポートしよう。 「おもてなし」のウラにあるもの 前日ギリギリまで実務者協議が続くなど、じつは直前の直前まで米朝首脳会談の開催は危ぶまれていた。 果たしてトランプ米大統領と金正恩朝鮮労働党委員長は、本当に会うことになるんだろうか? ぼくも、そんな疑念が晴れないままにシンガポールに降り立ったメディア関係者の一人だ。 今日の今日まで、ぼくのように右往左往していたメディア関係者は数多い。実際、会談前日の夕方には、「土壇場で会談中止が決まり、失意のうちに金正恩は平壌へ戻る」との未確認情報も飛び交った。