法務省による「失踪」能実習生についての調査が話題となっている。一方、技能実習生が会社から出る/逃げることを、「失踪」という言葉だけで、片づけていいのだろうか。 筆者は2014年からベトナムや日本で、技能実習生や家事労働者など、海外での移住労働の経験を持つベトナム人に聞き取りを行ってきた。その取り組みの中で、技能実習生が会社から出る/逃げる行為を「失踪」、そしてこの行為を行う主体を「失踪者」という言葉で片づけることに違和感を抱いてきた。そこで今回は、技能実習生が実習先企業から「逃げる」ことについて検討したい。まず技能実習生が会社から逃げる/出ることの動機形成とその背景をみていく。 ◆「失踪」を問い直す必要性 日本においては、技能実習制度を推進してきた国際研修協力機構(JITCO)による技能実習生の「失踪」統計があるほか、政府機関が技能実習生が実習先企業・監理団体の管理下から出る/逃ることを、