「悲しみから抜け出せなくて…」。一月上旬、東京都西東京市で開かれた「わかち合いの会」。進行役を務めた南部節子さん(73)=茨城県龍ケ崎市=は、大切な人を自殺で亡くし、つらい胸の内を明かす参加者たちの声に耳を傾け、自らの経験を重ねていた。 南部さんは二〇〇四年二月、エンジニアだった夫の攻一さん=当時(58)=を鉄道自殺で亡くした。横浜に単身赴任していた攻一さんは、新婚当時に暮らした奈良県内で電車に飛び込んだ。「仕事ができない。全くできない。ごめんなさい」。財布の中から見つかった遺書には、謝罪の言葉がつづられていた。 遺体は損傷が激しく、残された両足を何度もさすった。なぜ、死ななければならなかったのか。もっと、夫の本音を聞いていれば-。自分を責めた。葬式は身内だけでひっそりとあげた。近所の人には自殺と言えず、心筋梗塞だと伝えていた。