服装といい髪型といい、ブルックリンキッズといった出で立ちの青年。彼の左手には、見慣れない単語のタトゥーが彫られていた。「Kumeyaay」。クミアイ、と読むのだそう。 これは彼のアイデンティティであり、彼の属する民族の名前。Tommy Pico(トミー・ピコ)、32歳。彼は現代社会に住むミレニアルズ・アメリカインディアンだ。 アメリカ・インディアン(アメリカ先住民族、ネイティブ・アメリカン。以下、インディアン[※])。アメリカ大陸に初めて足を踏み入れた“真のアメリカ人”なのに、アメリカ人として忘れられた存在だ。長い間迫害を受け、実は現在でも連邦政府の管理下でリザベーション(居留地)暮らしを送っている。 その多くが居留地で一生を過ごす中、大都会ニューヨークに移り住み詩人として生きることを決めた、ひとりの珍しい現代インディアンを取材した。 ※インディアンという名称は一部差別用語だという意見もあ