東京都は十六日、在日コリアンに対する不当な差別的発言があったとして、都の人権尊重条例に基づき、都内で行われた街宣活動などでの言動二件を、ヘイトスピーチ(憎悪表現)と認定した。四月に同条例が全面施行されて以来、認定は初めて。 都がヘイトスピーチと認定したのは、五月に練馬区であった街宣活動と、六月に台東区で行われたデモ行進での参加者の言動。練馬区の街宣活動では参加者が拡声器を使い「朝鮮人を日本からたたき出せ、たたき殺せ」などと発言した。台東区でも参加者が「朝鮮人をたたき出せ」などの発言をした。
「悲しみから抜け出せなくて…」。一月上旬、東京都西東京市で開かれた「わかち合いの会」。進行役を務めた南部節子さん(73)=茨城県龍ケ崎市=は、大切な人を自殺で亡くし、つらい胸の内を明かす参加者たちの声に耳を傾け、自らの経験を重ねていた。 南部さんは二〇〇四年二月、エンジニアだった夫の攻一さん=当時(58)=を鉄道自殺で亡くした。横浜に単身赴任していた攻一さんは、新婚当時に暮らした奈良県内で電車に飛び込んだ。「仕事ができない。全くできない。ごめんなさい」。財布の中から見つかった遺書には、謝罪の言葉がつづられていた。 遺体は損傷が激しく、残された両足を何度もさすった。なぜ、死ななければならなかったのか。もっと、夫の本音を聞いていれば-。自分を責めた。葬式は身内だけでひっそりとあげた。近所の人には自殺と言えず、心筋梗塞だと伝えていた。
鉄道自殺などの人身事故に遭遇した運転士は、心に大きな傷を負うケースが多い。そうした運転士のための特別なケア制度を設けている鉄道会社は少なく、本紙調査では関東の主要十社のうち二社にとどまる。国土交通省によると、鉄道の人身事故は年間千件を超え、自殺者は六百二十人(二〇一七年、厚生労働省・警察庁資料から算出)。運転士の休暇制度やカウンセリングなどの対策が課題になっている。 (木原育子) 本紙は昨年十一月、鉄道自殺について十社にアンケートや聞き取り調査をした。その結果、人身事故に遭った運転士への特別のケア制度があったのは京急電鉄と東急電鉄の二社だった。 京急電鉄は一六年、人身事故に遭った運転士は翌日を休暇にする制度を創設。一週間後と一カ月後にカウンセリングやチェックシートで心の状態を確認しているという。担当者は「乗務員の心の負担は重い。少しでも職場環境を良くしたい」と話した。
厚生労働省が省内の全部局に、根本匠厚労相の指示として「非正規」や「非正規労働者」という表現を国会答弁などで使わないよう求める趣旨の文書やメールを通知し、本紙が情報公開請求した後に撤回したことが分かった。同省担当者は撤回の理由を「不正確な内容が散見された」と説明。根本氏の関与はなかったとしている。 (中根政人) 厚労省雇用環境・均等局によると、文書は「『非正規雇用労働者』の呼称について(周知)」という件名で四月十五~十六日に省内に通知。当面の国会答弁などの対応では、原則として「有期雇用労働者」「派遣労働者」などの呼称を用いるとした。「非正規雇用労働者」の呼称も認めるが、「非正規」のみや「非正規労働者」という表現は「用いないよう留意すること」と注意を促している。 各部局に送信したメールには、同じ文書を添付した上で「『非正規雇用』のネーミングについては、(中略)ネガティブなイメージがあるとの大臣
同性パートナーを持つ東京都職員二人が十九日、配偶者がいる人に認められる休暇制度や福利厚生を得られないのは、都の人権尊重条例に反するなどとして、都人事委員会に改善を求める措置要求をした。性的指向を理由とした差別を禁じた同条例は、「共生社会の実現」をうたう二〇二〇年東京五輪・パラリンピックに向け、都が昨年定めたが、自らの対応の遅れを指摘される形となった。 (岡本太)
政府が国・地方の公務員に、十二桁の個人番号や住所、氏名、生年月日が記録されたマイナンバーカードを二〇一九年度末までに取得するよう促していることが分かった。六~七月に、中央省庁や自治体などに対して、職員へ取得を促すことと、取得状況を報告することを指示した。カード取得は法律上の義務ではない。通知は事実上の強制だとの指摘もある。国・地方の公務員数は計約三百三十万人。 政府は六月四日のデジタル・ガバメント閣僚会議で「国家公務員及び地方公務員等については、本年度内に、マイナンバーカードの一斉取得を推進する」と決めた。総務省は翌五日に、自治体や共済組合などへの通知で、職員らに取得を促し、その後、六月末時点の同カード取得状況と、十月末時点の取得・申請状況を報告するよう指示した。
男性は静岡県知事の許可を得てニホンウナギの稚魚シラスウナギを捕る漁師。手のひらを振るのは仲間内で通じるしぐさで「良くない状態」を指す。不漁の時などにも使うが、男性の言う「これ」とは“密売”を意味していた。 絶滅危惧種ニホンウナギの国内有数の産地、浜名湖を抱える静岡県では、資源保護などのため、漁業調整規則で漁師が捕ったシラスウナギを地元の養鰻(ようまん)組合に出荷するよう定めている。指定先以外に売れば密売となるが、男性自身も「これ」をしたことがあるという。養鰻組合の正規の買い取り額は今季のピーク時で一キロ当たり九十五万円。これに対し、県外に売ったという男性は「百八十万円の闇値が付いた」と証言する。
安倍首相に結婚すると報告した後、記者団の取材に応じる小泉進次郎衆院議員(左)と滝川クリステルさん=7日、首相官邸で 首相官邸で七日、電撃的に結婚を発表した小泉進次郎衆院議員(38)とフリーアナウンサーの滝川クリステルさん(41)。ワイドショーの放送に合わせたような時間帯に飛び込んだ慶事を、各局は生中継を交えて大々的に報じた。安倍晋三首相も登場した前代未聞の「劇場型」展開に一役買ってしまったメディアの課題を指摘する声もある。 「きょうお時間ありませんか」。小泉氏や菅義偉官房長官の話では七日午前、小泉氏が菅氏に電話をかけ、急な面会を要請。滝川さんの名前は出なかったが、午後一時半ごろの面会直前、小泉氏は「滝川さんも一緒に行く」と菅氏に伝えた。
権力とメディアの攻防と、当事者の葛藤を描いた映画「新聞記者」(藤井道人監督)がヒットしている。フィクションだが、公文書改ざん、大学新設を巡る不正疑惑、政権への忖度(そんたく)など現政権で問題となった案件を想起させる作品。参院選期間と重なったためか、はたまた忖度かは定かでないが、テレビ番組でのPRはほぼゼロだった。にもかかわらず異例の大健闘。関係者は政治問題を批判的に扱う劇映画の定着に期待を寄せる。 (竹島勇) 原案は本紙社会部の望月衣塑子(いそこ)記者のノンフィクション。六月二十八日に全国百四十三館で公開され、七月二十二日の時点で動員三十三万人、興行収入四・一億円を突破。興行通信社の週末観客動員ランキングでも先週まで三週連続トップ10入りした。配給元の担当者によると、観客層は当初、中高年が多かったが、「最近では若い層がじわじわ増加。SNSで浸透した効果では」とみる。
梅雨空が広がる日曜午後。埼玉県の派遣社員の男性(47)は、東京・新宿二丁目で毎月開かれる同性愛者の交流イベントに参加した。十数人が集まったビル三階の会場。男性が三十代のゲイの友人に声をかけると、「元気そうじゃん」。長野に出掛けたことや、よく行く飲食店などたわいのない話をしながら一時間余を過ごした。 男性は二十代半ばでゲイと自覚した。「同性愛を隠さずにいられる居場所。自分が生きていると実感し、世の中とつながっていると確認できる」と話す。だが、そんな場所は多くはない。 男性は今年一月、派遣先の神奈川県内の工場を辞めた。親しい同僚にだけ、ゲイと打ち明けた直後、その同僚から仕事中に何回も後ろからズボンに手を入れられた。股間を触られそうになり、本人や派遣元の担当者に「セクハラだ」と訴えたが、対応してもらえず職場に居づらくなった。「ばかにされた感じがした」
「野菜を切るの、うまくなったわよね」。東京都世田谷区の福祉施設「デイホーム桜丘」。利用者の昼食準備を終えた地域ボランティアの女性たちが、昼食のテーブルを囲んでフィリピン人の若者に話しかける。 「おかげさまで」と流ちょうな日本語で答えたのは、施設の正社員として働くジェイソン・ブリトさん(25)。調理や配膳のほか、一人暮らしの高齢者の安否確認を兼ねた弁当の宅配サービスも担当し、毎日八軒を回って一つ一つ手渡す。「『ありがとう』と言われるとお金に代えられない喜びを感じます」。施設長の竜子(りゅうご)大二朗さん(56)は「人の懐に飛び込み、信頼を得る力がある。介護の仕事に向いている」と期待する。 ブリトさんは二〇〇五年、小学六年生の時に来日。ザンビア大使館で庭師として働く父が家族を呼び寄せた。新宿区内の公立小に入ったが、日本語が全くできず、いじめられた。当時、外国人は自分一人。「地獄でした」と振り返
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