自認する性別が出生時と異なるトランスジェンダーの人ら性的少数者の人権を巡り、新たな司法判断が示された。最高裁大法廷がきのう、戸籍上の性別変更を認める要件を定めた性同一性障害特例法のうち、精巣や卵巣など生殖能力をなくす手術を事実上求めた規定を憲法違反と断じた。 2019年に社会に混乱が生じる恐れがあるのを理由に「現時点で合憲」とした判例を変更した。社会情勢の変化を踏まえ、性的少数者の人権や生き方を尊重する方向にかじを切ったといえる。 最高裁が法律を違憲としたのは戦後12例目である。裁判官15人全員一致の意見であり、重く受け止めたい。 一方で納得できない点がある。特例法が規定する要件は五つあり、違憲だと訴えたのは手術を伴う2要件。このうち変更後の性別の性器に近い外観を備える要件については判断を避けた二審の決定を破棄し、差し戻すにとどまった。 手術なしでは性別変更できない現状を問う提起であり、大