野村総合研究所データサイエンスラボの偉い人が「令和の「データサイエンティスト」に必要な能力」と言う記事を書いて、その中の「統計学や機械学習における基礎的な知識・スキルを整理してマッピングした…図」が、統計学や機械学習に詳しい人々の困惑を招いている。 データサイエンスの文脈でよく言及されているらしき知識*1を古典的~現代的と基礎的~実践的の二軸で分類しようとしているのだが、概念の整理が不十分で、情報の整理整頓ができていない。課題と解決方法、手法と手法の総称、複数の手法を実装したライブラリ/実装が記入されており、その一部が一貫した意味を持たない矢印でつながれている*2。基礎知識として記入された用語の選び方に規準は見い出せない。中心極限定理があるのに大数の法則はない。 *1スキルと言っているし、大手SIerである野村総合研究所のまわりの案件で技術者募集時によく言及される用語を並べてみたのではない
「データサイエンティストになるのにRとPythonのどちらを勉強したら良いですか?」と言う御題が出されて、伝統的な統計解析だとRのライブラリが充実しているが、機械学習だとPythonが充実しており、システム開発ではPythonの一択だが、同僚や共同研究者にあわせないといけないから両方覚えることになると言うような指針が示された上で、それぐらい自分で考えられない人は何者にもなれないと言うような話になっていた*1。 適切な説明だが、RとPythonの違いが気になる人は少なくない。あえてデータ分析の道具として大きな優劣にならない文法面からのRとPythonの違いをもう少し細かく考えてみよう。Pythonはクラス型オブジェクト指向の性質が、Rは関数型の性質が強く出ていることが分かる。つまり、 Pythonはインデントを使ったブロック定義などの可読性をあげるための工夫があるが、Rは関数の最後の評価式が
てらっけー白饅頭こと御田寺圭氏がエッセイ*1で、保護者の経済力以外に「貧しい暮らしのなかに根深く共有されている習慣や文化や価値観こそが、そこで暮らす子供たちが得られる教育の質的・量的な乏しさをつくりだしている」が、それを指摘すると現代社会では差別主義者として非難されると主張しているのだが、教育格差の研究や、教育格差対策の政策では常識的な話となっている。 1. 教育研究では常識 生徒の家庭環境(SES)と言う概念があるのだが、これが勉強部屋や勉強机が用意されているか、保護者に子供の学習習慣を整える能力があるかなどを反映したものだ。白饅頭氏が指摘する「ある要素」が含まれた概念になる。直接は観察できないが、統計解析の手法の一つ共分散構造分析で、家庭所得・住まいの状況(e.g. 勉強部屋や勉強机の有無)・家の本の数・両親の学歴などから合成し、学力との相関を見るのは一般的な分析。ざっと検索しても、S
安倍元総理が演説中に凶弾に倒れたあと犯人の動機に興味関心が注がれているのだが、安倍総理と統一教会の関係から論じるのを非難する安倍元総理の支持者をぼちぼちと見かける。彼らはテロリストを礼賛(らいさん)し、暗殺が自業自得であったと考えることになると主張しているのだが、テロリストが凶行に及んだ理由を推察するのもテロリズムと言って弾圧しそうな考え方だ。 1. 現時点で想像される動機 現時点までの報道から推察される犯行理由は、新興宗教団体の霊感商法は信者やその家族の人生に大きな負の影響をもたらす犯罪的行為だが、安倍元総理と言う権力者が新興宗教団体と親しいために、(忖度か何かで)新興宗教団体が裁かれたり規制されたりしないので*1、安倍元総理を暗殺する必要があったと言うものだ。確信犯。 2. 完全に荒唐無稽とも言えない 陰謀論? — 確かに安倍元総理がここで言う新興宗教団体、統一教会に行政や立法を通して
統計学者や統計分析者(ユーザー)でなくても、統計解説の結果を間接的にでも見ることは少なくない。しかし、統計解析を正しく行うのも、分析結果を正しく解釈するのも、実際のところは容易ではない。オモシロ統計が世に広がり、誤解が世間に定着しかねない世の中だ。 所謂(いわゆる)統計リテラシーの問題なのだが、ダメな分析や解釈についての一般書でこれと言うものは私が知る限り無かった。類書で『統計でウソをつく法 — 数式を使わない統計学入門』が連想されるが、同書は書かれてから時間が半世紀以上経ち、内容もサンプリング・バイアスや記述統計量(というか平均)の性質、グラフの見せ方の話などがある一方、回帰分析が引き起こす誤謬や、社会や制度が統計分析者に与える影響についての記述は無い。 『ニュースの数字をどう読むか — 統計にだまされないための22章』は、穏当な統計解釈のための考え方を、数式を使わずに文章で説明してくれ
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