承前3につづく 宮台 近代社会の社会システムでは、以前とは違ったことが起ります。たとえ〈社会〉の外側に〈世界〉が拡がると観念される複雑な社会でも、近代以前には〈社会〉のクロックと〈世界〉のクロックがシンクロしました。日の出と日の入が典型ですが、〈世界〉の時間に合わせて〈社会〉を営むしかなかったのです。社会が複雑になってくると、至る所にサブシステムができて、それぞれ特別なクロックを持った作動領域になります。そうなると、人が〈世界〉のクロックなんぞに共振されちゃたまらない。ランディさんのおっしゃる通り、近代社会では僕たちが〈世界〉から隔離されがちになるわけですね。 複雑な〈社会〉が回るには僕たちが〈世界〉から隔離される必要があります。以前の社会のように僕たちが〈世界〉に開かれていたのでは〈社会〉が回らない。だから、複雑な〈社会〉になるほど、僕たちから〈世界〉への敏感さが免除されるどころか、敏感