【ワシントン=黒瀬悦成】米司法当局がロシアのスパイとして男女10人を逮捕した事件で、米司法省は8日、米国が10人の身柄をロシアに引き渡す一方、露側も国内の刑務所に服役中の西側スパイ4人を釈放する「スパイ交換」で両政府が合意した、と発表した。 米メディアによると、米露が表立ってスパイ交換を行うのは、東西冷戦終結後初めて。米当局によるスパイ摘発から10日余りでの事態収拾は、この問題が米露関係の悪化につながるのを避ける思惑があったとみられる。 10人は7日、「米政府への届け出なしにロシアの情報員として活動した罪」でニューヨークの連邦地裁で起訴され、8日の罪状認否で有罪を認めた。同地裁は10人を即刻国外退去処分とする判決を下した。 一方、ロシアが釈放するのは、米中央情報局(CIA)が運営する英企業に原潜などの機密情報を提供したとして2004年に禁固15年の判決を受けた露軍事専門家イーゴリ・スチャー