タグ

ブックマーク / blog.tatsuru.com (31)

  • ある共産党員への手紙 - 内田樹の研究室

    共産党員で、私のの愛読者でもあるというSさんという方から手紙を頂いた。松竹伸幸さんの「共産党党首公選」をめぐる論争で私が松竹さんの行動を支持していることについてである。共産党の党規約はよくできていて、党運営も民主的であるのだから、松竹さんは「意見があるなら、党内でドンドン発言しなさい」という『しんぶん赤旗』の読者投書を引いて、私の行動をやんわりと批判するものだった。それに対してこんな返信をした。 Sさま はじめまして、内田樹です。 お手紙と投書拝見しました。ご指摘ありがとうございます。 松竹さんの件については、実は僕も困惑しています。 僕は非党員ですから、共産党の党規約というものがどんなものだか知りません。共産党の党内民主主義の実相についても存じ上げません。 松竹さんは現役の共産党員であり、長く党中枢にいた人で、僕が実際に存じ上げて、人間を信頼している方ですので、その方から「党首や党幹部

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2023/03/29
    おや
  • 大学院の変容・貧乏シフト - 内田樹の研究室

    毎月ある地方紙にエッセイを寄稿している。これは8月分。 人口当たりの修士・博士号取得者が主要国で日だけ減っていることが文科省の調査で判明した。これまでも海外メディアからは日の大学の学術的生産力の低下が指摘されてきたが、大学院進学者数でも、先進国の中でただ一国の「独り負け」で、日の知的劣化に歯止めがかからなくなってきている。 人口当たりの学位取得者数を2014~17年度と08年度で比べると、修士号は、中国が1.55倍、フランスが1.27倍。日だけが0.97倍と微減。博士号は、韓国が1.46倍、イギリスが1.23倍。日だけが0.90倍と数を減らした。 当然だと思う。さまざまな理由が指摘されているけれど、一言で言えば「大学院というところが暗く、いじけた場所になった」からである。若くて元気な人間なら、せっかくの青春をそんなところで過ごしたくはない。 と書いておいてすぐに前言撤回するのも気

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2018/09/13
    都々逸の文句じゃないが、"貧すりゃ鈍す"を避けられるわけがなかろうに / まぁ反経済成長・清貧志向を言ってきた方なので、学術予算が削られても"予算を増やせ"と素直に言えずにこんなひねた愚痴になるのかな
  • シンギュラリティと羌族の覚醒 - 内田樹の研究室

    安田登さんをお招きして、ご高著『あわいの時代の「論語」』刊行記念3時間セミナー(ほぼしゃべりっぱなし)というイベントを凱風館で開いた。 頭の中に手を入れて引っ掻き回されるようなわくわくする経験だった。 備忘のために、すごく興奮した話題を一つだけ書き止めておく。 それはsingularityはAIが人類史上初めてではなく、3回目という話。 一度目は数万年前に頭蓋骨が巨大化したとき、二度目は文字が発明されたとき。 その時、安田さんから周りの人たちと「文字が発明されたときに、文字がなかった時代と何が変わったのか?」相談してみてくださいと言われて、隣に座っていた光嶋くん、神吉君、浅野パパと3分間ほどブレーンストーミングをした。 文字の出現というのは脳内に記憶しておくべきことを外部記憶装置に転写することができるようになったわけだから、脳内の「デスクトップ」が広く使えるようになったというのがとりあえず

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2017/09/01
    「一度目は数万年前に頭蓋骨が巨大化したとき」 ん? / まぁ事実認識のおかしさは措くとしても、非文字文化圏でも暦が発達してる文化もあるし文字と時間感覚ってそんなにウンチク語るほどの強い関連があるものかは
  • 従属と謝罪について - 内田樹の研究室

    朝日新聞に「安倍首相の靖国参拝」についてコメントを求められたので、すこし長めのものを書いた。もう掲載されたので、ブログでも公開することにする。 東京裁判は戦後日に対して二つの義務を課した。 一つは、敗戦国として戦勝国アメリカに対して半永久的に「従属」の構えをとること。 一つは侵略国としてアジアの隣国(とりわけ中国韓国)に対して半永久的に「謝罪」の姿勢を示し続けること。 従属と謝罪、それが、東京裁判が戦後日人に課した国民的義務であった。 けれども、日人はそれを「あまりに過大な責務」だと感じた。二つのうちせめて一つに絞って欲しいと(口には出さなかったが)願ってきた。 ある人々は「もし、日人に対米従属を求めるなら、日がアジア隣国に対して倫理的疚しさを持ち続ける義務からは解放して欲しい」と思った。別の人々は「もし、東アジアの隣国との信頼と友好を深めることを日に求めるなら、外交と国防に

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2014/01/29
    こちらに全文が。江藤淳を持ち出してるしやはりウォー・ギルト・インフォメーション・プログラムが元ネタなんだろうか。岸田秀っぽい精神分析的時評に陰謀論的フレーバーを加えるのが内田センセイの持ち味
  • 東北論 震災・原発事故 (内田樹の研究室)

    ご近所の灘校の文化祭で東北研究のパネル発表をするということで、インタビューを受けた。なかなか白熱したインタビューで、「東北とは」という切り口でものを考えたことがあまりなかったので、新鮮だった。 インタビュアーは高校生。 ―まず先生は震災当時はどこにいらっしゃったのですか。 3月11日はスキーに信州に行った帰りで、電車が止まって、直江津で足止めをらってました。よく事情が分からなくて、夜中も余震が凄かったし。阪神大震災以来だから恐怖心を感じました。翌日電車が動いて1日遅れでこっちに帰ってきました。 ―先生は阪神淡路大震災も経験なさってるわけですよね。その時と比べてみてどうですか。 何が違うかと言うと、天変地異のレベルの話じゃなく、それに対処するときの政治と社会の問題だと思います。今回の対応の悪さって、桁外れなんじゃないかな。日の社会全体としての復興に対する、支援に対する態度っていうのがひど

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2013/04/23
    「東海道新幹線の開通が1964年でしょ。東北新幹線の開通は2010年ですよ。半世紀遅れてる」 えっ / まぁこの程度は内田センセイにはよくあること。こういうのも含め内田節の好きな方々にはたまらない内容なのだろう
  • 田中大臣の不認可問題の影にあるもの - 内田樹の研究室

    田中真紀子文科相は秋田公立美術大など3大学の2013年度開校を不認可とした問題について6日に大学設置認可に関するあらたな検討委員会を発足させる意向を表明した。 文科相の諮問機関である大学設置・学校法人審議会の見直しをこの委員会で行い、改めて3大学の設置認可を判断することとして、来春の開学への可能性を残す考えである。 大臣は設置審議が「許可されてから工事をするならわかるが、ビルが建って、教員も確保してから、認可申請をするというのは筋違いだ」と批判した他、設置審議会の構成が委員29名中22名が大学関係者であることを咎めて、「多くのジャンルの方の意見を聞きたい」とした。 不認可という爆弾を放り投げてみたものの、世論の袋叩きに遭って、あわてて引っ込めたということである。 政治的にはそれだけの単なる失策に過ぎないが、この失策の背後には大学教育をめぐる質的な問題点がいくつも透けて見える。 ひとつは文

  • 直感と医療について - 内田樹の研究室

    第13回日日赤十字看護学会というところで講演をすることになって、長野県の駒ヶ根というところに来ている。 学会は今朝から始まっているが、私は懇親会に出るだけで、明日の朝講演をすることになっている。 頂いたお題は「東日大震災における天災と人災」というものだが、私を講師に指名して下さったということは、「人災」の構造についての分析だけのためとは思えない。 私が武道家としてこれまで考究してきたのは、天災であれ、人災であれ、「生きる力」を損なうものからどうやって身を守るか、ということである。 自然災害であれ、人間が発する邪悪な思念であれ、それが私たちの生物としての存在を脅かすものであれば、私たちはそれを無意識のうちに感知し、無意識のうちに回避する。 たしかにそのような力は私たち全員のうちに、萌芽的なかたちで存在する。 だが、それを計測機器を用いて計量し、外形的・数値的に「エビデンス」として示すこと

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2012/06/19
    内田節全開である
  • 『赤毛同盟』と愚鈍の生成について - 内田樹の研究室

    朝日新聞の求人欄の上に日曜に出ている「仕事力」というコラムのための取材を受けた。 その中で、「適性」とか「天職」とかいう言葉がどれほど若い人たちの労働意欲を損なっているかについて語った。 今、仕事を探している若い人たちの言う「自分の適性にあった職業」というのは、装飾を削ぎ落として言えば、「自分の手持ちの資質や能力に対していちばん高い市場価値がつけられる職業」のことである。 交換比率のいちばんいい両替機会を求めているのである。 ありていに言えばそういうことである。 そういう仕事をみなさん探している。 交換比率のいちばんいい両替機会を求めてうろうろするのは、やればわかるけれど、あまり賢いことではない。 でも、消費者マインドを刷り込まれた人たちは、「限られた持ち金でどれだけ有利な取引をするか」、費用対効果にしか興味がない。 それは大学で教えているとよくわかる。 学生たちは単位や資格や学士号の「市

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2012/03/23
    いつものことだが途中からものすごい論理の飛躍が。しかも赤毛連盟ってそんな話だっけ?まぁ最小限の論理や根拠をもって最大限の牽強付会を導かんとする内田先生のあくなき効率追求には毎度感心するけれど
  • さよならアメリカ、さよなら中国 (内田樹の研究室)

    昨日の結婚式では右隣が某自動車メーカーの取締役、左隣が某貴金属商社の取締役だったので、さっそく日経済の今後について、東アジア圏の経済動向について、現場からのレポートをうかがう。 私は昔から「異業種の人から、業界話を聞く」のがたいへん好きなのである。 あまりに熱心に話を聞くので、相手がふと真顔になって「こんな話、面白いですか?」と訊ねられることがあるほどである。 私が読書量が少なく、新聞もテレビもろくに見ないわりに世間の動向に何とかついていけるのは、「現場の人」の話を直接聞くことが好きだからである。 新書一冊の内容は、「現場の人」の話5分と等しい、というのが私の実感である。 さっそく「TPP加盟でアメリカ市場における日車のシェアは上がるのでしょうか?」というお話から入る。 「多少は上がるでしょう」というのがお答えであった。 アメリカの消費者は同程度のクオリティであれば、ブランドというもの

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2011/10/31
    「というわけで、アメリカと中国は「もうそろそろ終わり」という話を結婚式のテーブルでうかがって、耳学問をしたウチダでした」 色々主張しても最後は伝聞の形としてしめる事を忘れない成熟した表現者であった
  • グローバリストを信じるな - 内田樹の研究室

    Againの定例経営会議で箱根湯に集まり、平川くん、兄ちゃん、石川くんと日の行く末について話し合った。 EUの先行き、日のデフォルトの可能性から、TPPが「空洞化したアメリカ産業の最後の抵抗」という話になる。 いったいアメリカは自由貿易によって日に何を輸出して、どういうメリットを得るつもりなのか? この中心的な論点について、メディアは実はほとんど言及していない。 「TPPに参加しないと、『世界の孤児』になる」とか「バスに乗り遅れるな」というような、「自己利益(というよりは「自己利益の喪失)」にフォーカスした言葉が飛び交うだけで、「なぜアメリカがこれほど強硬に日のTPP参加を要求するのか?」という、アメリカの行動の内在的なロジックを冷静に解析した記事をメディアで見る機会はほとんどない。 まさか、アメリカが自国の国益はさておき日の国益を守るために完全な市場開放を日に求めているのだ

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2011/10/29
    一時期ちょいとトンデモなユダヤ論とか中華文明論を熱く語っていたが。内田センセイに国際政治・経済への叡智はあまり期待しない方が…
  • ネット上の発言の劣化について - 内田樹の研究室

    個人的印象だが、ネット上での匿名発言の劣化がさらに進んでいるように見える。 攻撃的なコメントが一層断定的になり、かつ非論理的になり、口調が暴力的になってきている。 これについては、前に「情報の階層化」という論点を提示したことがある。 ちょっと長い話になる。 かつてマスメディアが言論の場を実効支配していた時代があった。 讀賣新聞1400万部、朝日新聞800万部、「紅白歌合戦」の視聴率が80%だった時代の話である。 その頃の日人は子どもも大人も、男も女も、知識人も労働者も、「だいたい同じような情報」を共有することができた。 政治的意見にしても、全国紙の社説のどれかに「自分といちばん近いもの」を探し出して、とりあえずそれに同調することができた。 「国論を二分する」というような劇的な国民的亀裂は60年安保から後は見ることができない。 国民のほとんどはは、朝日から産経まで、どれかの新聞の社説を「口

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2011/08/01
    メソポタミアの石板にも同じようなことが書いてありそう
  • 暴言と知性について - 内田樹の研究室

    復興相が知事たちに対する「暴言」で、就任後わずかで大臣を辞任することになった。 この発言をめぐる報道やネット上の発言を徴して、すこし思うことがあるので、それについて書きたいと思う。 松大臣が知事に対して言ったことは、そのコンテンツだけをみるなら、ご人も言い募っていたように「問題はなかった」もののように思われる。 Youtube で見ると、彼は復興事業は地方自治体の自助努力が必要であり、それを怠ってはならないということを述べ、しかるのちに「来客を迎えるときの一般的儀礼」について述べた。 仮に日語を解さない人々がテロップに訳文だけ出た画面を見たら、「どうして、この発言で、大臣が辞任しなければならないのか、よくわからない」という印象を抱いたであろう。 傲慢さが尋常でなかったから、その点には気づいたかもしれないが、「態度が大きい」ということは別に政治家が公務を辞職しなければならないような

  • 「疎開」のすすめ - 内田樹の研究室

    「疎開」を勧めている。 政府や自治体の方からいずれ公式にアナウンスがあると思うけれども、東北関東の大震災の被災地への救援活動を効率的に実施するためにも、被災地や支援拠点となる東北関東の都市部から、移動できる人は可能な限り西日へ移動することを勧めたいと思う。 いま被災地と、その周辺には限られた資源しかない。特に燃料の不足が顕著である。東日一円では自動車による移動がしだいにむずかしくなりつつある。東海地方にまで地震が広がって、新幹線をふくむ交通インフラの運転も安定していない。 できれば、移動手段に十分な余力があるうちに、移動できる人は西に移動することが望ましいと思う。 福島の原発については、危機的状況をすみやかに脱することを私も願っているが、主観的願望と客観的状勢判断は混同すべきではない。万が一、放射性物質の広域への飛散が始まったときに起こるパニックを想定すれば、「パニックがまだ起こらない

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2011/03/16
    こちらの先生も煽るねぇ。なんなら伊豆に疎開すると気が合う方と落ち合えるかもしれません
  • フリーズする政治 - 内田樹の研究室

    たいへん興味深いことであるが、参院選前に「予測」を求める寄稿や取材依頼はたくさんあったのに、選挙が終わってしまうと、「総括」を求める仕事がさっぱり来ない。 むろん、私の「民主微減、自民大敗」という予測がはずれてしまったので、「政治向きのことをウチダに訊いてもつまらん」という合意形成ができたのかも知れない。 けれども、予測がはずれたのはおおかたの政治評論家もいっしょである。 私の知る限り、「民主大敗、自民大勝」という予測を掲げていた人はいないようである(自民党政治家は別だが、それは「主観的願望」と「客観的情勢判断」の意図的な取り違えにすぎない)。 けれども、これほど事前の予測がはずれたことについて、「なぜ、はずれたのか」のアカウントを求めることはたいせつなことだ。 「どうして予想がはずれたのですか」と誰も訊きに来ないので、自分で考えてみることにする。 参院選の前に私がいくつかの取材で申し上

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2010/07/18
    予想を外した言い訳はどうするのかなと思ったら"ユウケンシャガー"だった / 有権者の問題というよりは1票の格差と"二つの民意"を持つ二院制の制度的問題では。参院をチェック機関とするのならもう少し権限を抑えるべき
  • 英語公用語化について - 内田樹の研究室

    「ユニクロが公用語、英語に」という新聞の見出しを見て、「UNIQLO」という単語が英語の辞書に採択されたのか、すげえと思っていたら、そうではなくて、社内の公用語が英語になったのである。 日の企業ではすでに日産と楽天が公用語を英語にしているが、ユニクロも「日のオフィスも含めて、幹部による会議や文書は基的に英語とする」ことになった。 柳井正会長兼社長は「日の会社が世界企業として生き残るため」と語っている。 海外で業務ができる最低限の基準として、TOEIC 700点以上の取得を求めるのだそうである。 こんな時代にサラリーマンをしていなくてよかったなあ、と心底思う。 英語が公用語という環境では、「仕事はできるが英語はできない」という人間よりも「仕事はできないが英語ができる」という人間が高い格付けを得ることになる。 英語が公用語になったある学部では、英語運用能力と、知的ランキングが同期してし

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2010/06/25
    現状でも弁が立つ≒仕事が出来る、となってしまう面はあるし、それの中身が日本語から英語に変わるだけでは。コミュ強者の構成メンバーに多少入れ替え戦が起こるだけのこと
  • 幼児化する男たち - 内田樹の研究室

    『Ane Can』という雑誌の取材を受ける。 『Camcan』のお姉さんヴァージョンである。 このところ女性誌からの取材が多い。 どうしてだろう。 わからない。 インタビュイーの選考は先方のご事情なので、私の与り知らぬことである。 お題は「愛と自立」 う〜む。 「愛をとるか、自立をとるか」でお悩みの20代後半女性にアドバイスを、というご依頼である。 端的には「仕事をとるか、結婚をとるか」ということのようである。 つねづね申し上げているように、これは問題の立て方が間違っている。 仕事結婚も、どちらも人間が他者と取り結ぶさまざまな interdependent なかかわりの一つであり、どちらも人間が生き延びるためには「あったほうがよい」ものである。 「仕事もない、配偶者もいない」というのがワーストで、「おもしろい仕事もあるし、すてきな配偶者もいる」というのがベストであり、その間に無数のグラデ

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2010/06/24
    内田センセイは言うことは毎度しょうもない居酒屋談義なんだが文章力で読ませるから困る
  • 普天間 「それ」の抑止力 (内田樹の研究室)

    共同通信の取材。参院選についての見通しを訊かれる。 月曜にAERAのみなさんともその話をしたばかりである。 民主党は議席を減らすが、「大敗」というほどではないだろう。自民党はさらに議席を減らし、谷垣総裁の責任問題に発展し、党の分裂が進む。公明党も政権与党という条件がなくなったので議席減。「みんなの党」に多少議席をふやす可能性があるが、投票率が低いだろうから、「風が吹く」というような現象には達しないだろう。 というあまりぱっとしない見通しを語る。 見通しがぱっとしない理由は民主党政権が「期待したほどではなかった」という思いはあるが、「じゃあ、何を『期待』していたんだ?」と訊き返されると、有権者も政治家もだれもが明確な中長期的構想を語れないからである。 民主党だって「やろう」としたのだが、うまくできなかったのである。 それを民主党の政治家たちがとりわけ無能であったと見るか、「やれる」と思って取

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2010/05/28
    射程を考えれば"どこにあるか"なんてあまり重要じゃないのに / 内田センセイの選挙予測だと勝つ政党はどこなんだろ。主要政党はどこも負けてみんなの大勝もないってことは、名前の出てない社民・共産大勝利って予想?
  • 甲野先生の最後の授業 - 内田樹の研究室

    甲野善紀先生を学の特別客員教授にお招きして3年。この年度末で任期満了となる。 2月1日から3日までの集中講義が甲野先生の学における最後の授業である。 ご挨拶に伺い、お稽古に加えて頂く。 ずいぶん多くの学生たち(および「にぎやかし」の合気道部員、杖道会員、OG、甲南合気会員)がミリアム館にひしめいて、さまざまな身体技法をあちこちで試みている。 甲野先生の講習会はだいたいこういうかたちで、「全級一斉」という指導法はなされない。 ひとりひとりが自分のペースで、自分の選んだ課題を試みる。だいたい数人のグループになって教え合ったり、批評し合ったりする。そのグループも固定していない。甲野先生が何か違うことを始めると、自然に解体して、また違う人たちとのグループが出来る。 自分の身体の内側で起きていることを「モニター」するというのが、稽古の基であるから、外的な規制はできるだけ行わず、ひたすら自分の内

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2010/02/03
    正直この手の古武術話は"オカルトくせー"と思うが、ある種の歪んだ身体イメージや自己イメージが尋常ではない体さばきを生んだりとかはあるのかも。でもそれを人生訓にまで持ち込まれると…
  • 大学漫画を読む (内田樹の研究室)

    センター入試の二日目の理科の試験監督が当たっているので、日曜日だけど、冬空の下を昼から大学に出かける。 学長、入試部長、大学事務長、入学センター課長とご挨拶もそこそこに前期試験の志願者数をお訊きする。 前年比8%減。 学を第一志望にしている学生のうち相当数を秋季入試でもう取ってしまったので、一般入試の目減りがこの数字で収まったのは善戦といってよいであろう、と総括。 各大学の志願状況がネットで公開されているが、どこもたいへんな苦戦を強いられている。 ふつうに考えるとある大学の志願者が減った分だけ、他の大学の志願者が増えて、トータルではゼロサムになっているはずだが、そうではない。 大学全入時代であるから、「滑り止め」にいくつも大学を受ける必要がないのである。 以前は7、8校受験するのが当たり前であったが、今年は自信のある受験生は2,3校にまで絞り込んでいる。 だから、志願者実数は5%減だが、

  • 一億総学力低下時代 - 内田樹の研究室

    慶應義塾大学と共立薬大が 2008 年度に合併する。関西学院大学と聖和大学の合併に続いて、二件目である。 毎日新聞の社説はこのニュースにこうコメントしている。 「来年度は大学・短大志望者が総定員に収まる『大学全入時代』。既に定員割れを起こす大学が相次ぐ中で、今回の合併劇は統合・淘汰の時代の始まりを示唆する。」 この状況判断はその通りである。 しかし、統合・淘汰を手放しで「市場の論理」として受け容れるべきではない。 そのことはこれまでも繰り返し申し上げてきた。 毎日新聞の社説もその点については留保をしているが、私の見解とはいささいかの「ずれ」がある。 社説はこう続く。 「こんな時代になったのは、少子化が進んだためだけではないのだ。大学教育の『質の低下』という積年の、質的な問題がある。(…) 経済成長や基準緩和の中で増え続けた大学(06 年度学校基調査で、国立87校、公立89,私立568)

    enemyoffreedom
    enemyoffreedom 2006/11/22
    内田先生、あいかわらず飛ばしてるな