政府が自国通貨建てで借金ができる国は、財政赤字の拡大を心配する必要はないとする米国発の近代金融理論(MMT)が論争を呼んでいる。主流派経済学者から「ハイパーインフレを引き起こす」と批判される異端の経済理論だが、大衆人気の高い米若手議員らが支持を表明し、にわかに注目が集まった。MMT支持者の間では、財政赤字が膨張しても金利が上がらない日本を「お手本」と呼ぶ声もあり、財務省などが困惑している。 MMTは、米民主党に近い米ニューヨーク州立大のステファニー・ケルトン教授らが提唱する理論。自国通貨建ての国債であれば、いくら財政赤字が拡大しても紙幣を増刷すれば返済できるため、政府は財政赤字を気にせずに景気押し上げに努めるべきだと主張している。