初夏の京都で国文学者の中西進さん(89)に会った。新元号「令和」の考案者とされる万葉集研究の第一人者である。3時間に及ぶインタビューで中西さんは令和を「うるわしく平和に生きていく願いがこもった元号だと了解していいでしょう」と語った。そして忘れ得ぬ戦争体験を明かし、不戦を誓った憲法9条を「世界の真珠」とたたえた。【鈴木琢磨】 万葉集ブームである。多くの書店に「令和」の典拠となった万葉集にちなむ本が並ぶ。中西さんが40代で書いた入門書「万葉の心」も毎日新聞出版から文庫版で復刊された。「こんな現象は初めてでしょう。テレビのニュースを見ていたら、ゆかりの福岡県の太宰府にきていた小学生が万葉集を読んだよって話してましたね。先日、トランプ米大統領までもが宮中晩さん会のスピーチで万葉集に触れていたのには驚きましたが」。そもそも万…