NHKをスクランブル化できない2つの理由 NHKの受信料が問題になると、よく耳にするのは「NHKはスクランブルをかけて、受信料を払いたくない人は受信できないようにすればいい」という主張である。ご存じのように、旧NHK党の立花孝志氏や自民党の小野田紀美議員がこのように唱えている。 ポピュリストというものは、目先の利益で釣って、その先の究極的利益については思考停止させる。また、手間と時間のかかること、わかりにくい複雑なことは避け、単純で手っ取り早い「解決策」に見えるものを示す。 だから、彼らのいうことに耳を貸すべきではない。 NHKの放送にスクランブルをかけるべきでないし、かけられない。その理由は2つある。 1つ目は「公共の電波」という原則に反するということだ。 2つ目はスクランブルをかければ、自ら存在理由とした「あまねく全国に放送する」が否定されるので、NHKにはできないということだ。 実は
「NHKのBSデジタル放送を見ていないのに、受信料を要求された」。西日本新聞「あなたの特命取材班」に、福岡市の男性から投稿があった。NHKの営業員からは「配線を変えたら映る」と迫られたという。見たくなくても視聴できる環境であることから「受動喫煙」になぞらえ「受動受信」と言われ、2007年に始まった総務省の会議以降、問題視されてきた。有識者は「BSは付加的なサービスで民放との違いがはっきりしない。受信料支払いの根拠が不明確だ」と見直しを求めている。 【写真】「こちらの方法でご覧いただけます」NHKの営業員が置いていったチラシ 「アンテナと、チューナー内蔵のテレビがあるなら支払うように、との一点張りだった」。投稿した男性は、営業員から迫られた時のことが忘れられない。 14年、BS放送の共用アンテナがある集合住宅へ転居。壁面のテレビ端子からテレビの地上波用端子につなぎ、BS放送は全く見ていない状
写真:Ivo Gonzalez/アフロ 3月16日、NHKで『新型コロナウイルス「いま あなたの不安は何ですか?」』が放送された。視聴者から寄せられた3万件から選ばれた疑問に、東北医科薬科大学特任教授の賀来満夫氏、聖路加国際病院・感染管理室マネージャーの坂本史衣氏、東邦大学教授の小山文彦氏らが答えるものだ。司会は武田真一アナウンサー、林田理沙アナウンサー。放送中もファックスやインターネットで視聴者からの質問を受け付けた。 紹介された視聴者の声には、公園で遊んでいた子どもが、近隣住民から「家にいなくていいのか」と注意を受けたというものもあった。新型コロナを恐れるあまり、このような過剰な反応があることはほかでも聞かれる。 専門家会議が示した、クラスター(集団)発生のリスク条件が番組でも改めて提示された。(1)密閉空間であり換気が悪い、(2)手の届く距離に多くの人、(3)近距離での会話や発声があ
報道は真実に迫るのが使命。権力に不都合なことでも堂々と報じてこそ意義がある。でも現実はその通りにいかないこともある。NHK記者として森友事件取材の真っ只中にいた私は、ちょうど1年前のきょう(5月14日)組織に切られた。何が起きたのか記しておくことは、報道のあるべき姿を考える上で役立つだろう。 よくない人事の予感 去年までNHK大阪放送局報道部の記者だった私は、森友学園への国有地値引き売却問題(森友事件)を発覚当初から取材していた。しかし政権にとって都合の悪い特ダネは上層部に歓迎されない。 近畿財務局が森友学園の出せる上限額をあらかじめ聞き出した上で、学園の都合に合わせるように値引きして売却額を決めた。財務省の背任の実態に迫る特ダネだ。これをニュースで報じた時、NHKの全国の報道部門のトップである東京の報道局長は「なぜ出したんだ!」と激怒し、私の上司に「あなたの将来はないと思え」と言い放った
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