北アルプスで山岳救助中だった岐阜県の防災ヘリ「若鮎Ⅱ」が墜落し、乗員3人が死亡した事故から10年。事故後の調査で、北アルプスでの救助訓練の経験がなかったことが判明。事故で亡くなった後藤敦さん(当時34)の遺族は「なぜ、出動を止めることができなかったのか」と問い続けている。 奥穂高岳のジャンダルム(標高3163メートル)で、岐阜県の防災ヘリが墜落し、県防災航空隊に所属していた機長で操縦士の朝倉仁さん、整備士の三好秀穂さん、副隊長の後藤敦さんが亡くなった。岐阜県警は2011年3月、機長ら4人を業務上過失致死の疑いで書類送検し、岐阜地検が不起訴処分とした。 同県笠松町の救急隊員だった敦さんは事故当時、県防災航空隊に出向。防災ヘリで空からの救助や消防活動にあたっていた。 事故があった2009年9月11日。県防災航空センターは、北アルプス奥穂高岳の難所・ジャンダルムで「男性が登山中に倒れた」と119