県内で2018年に山岳遭難した人は330人に上り、統計がある1954(昭和29)年以降で最も多かったことが4日、県警山岳安全対策課のまとめで分かった。遭難の発生件数も297件で、54年以降で最多だった13年の300件に次ぐ多さ。豊作だったキノコを採りに入山した人の遭難が相次いだことや、夏季に好天の日が多く、登山者が増えたことが影響したとみられる。 同課によると、18年の遭難者のうち死者は52人(前年比8人減)、行方不明は5人(同2人増)。死者の内訳は転落・滑落が34人と最も多く、病気5人、落石1人、雪崩1人などだった。遭難者のうちけが人は146人(同2人減)。無事救助された人も127人(同11人増)いた。 遭難全体のうちキノコ採りに伴う遭難は20件で遭難者は21人。このうち死者は15人に上り、記録が確認できる13年以降で最も多かった。キノコ採りは、やぶの中や急斜面などを進むほか、マツタケな
今夏、北ア・上高地の登山相談所に投函された登山計画書。日程や宿泊形態の欄が空白だった(画像を一部加工) 県登山安全条例に基づき昨年7月1日から提出が義務付けられた登山計画書(登山届)のうち、登山口で提出される手書きのものに緊急連絡先や行動予定、下山予定などが記載されないケースが目立っている。出発を急ぐばかりに記入を面倒に思っている可能性もあるが、中には氏名しか書いていないものもある。提出義務化は遭難時の迅速な救助につなげる目的だが、各地の山岳遭難防止対策協会の救助隊員は、「万一の場合に役に立たず救助できない恐れがある」とし、記入の徹底を呼び掛けている。 「この2枚は話にならない」。今夏、北アルプス・上高地(松本市安曇)で登山相談員をした北ア南部地区遭対協の今川剛之(よしゆき)さん(72)は7月30日夕方、こう話した。上高地バスターミナル近くの登山相談所のポストにこの日投函(とうかん)された
登山安全条例に基づく登山計画書(登山届)の提出が平成28年7月に義務化されて以降、提出数が約6割増加したことが5日、県山岳高原観光課の集計で分かった。県などは、夏山シーズンが今後、本格化することを踏まえ、山岳遭難の防止に向け、周知活動を一段と強める考えだ。 同課によると、28年7月から今年3月にかけて、県に提出された登山計画書は15万1962件。条例施行前に当たる前年同期の集計では、9万5929件にとどまっており、58・4%増えた。 提出形態は、登山口などに設けた登山ポストやファクスなどによる県受け付け分が13万6663件、日本山岳ガイド協会のオンライン登山計画書届け出システム「コンパス」などのインターネット経由は、1万5299件だった。 登山安全条例は27年12月に施行。計画書提出の義務化は、周知期間を経て28年7月から始まった。背景には、信州の山を楽しむ登山者が増える一方、技術や知識の
28日午後、長野県の北アルプスの白馬岳で雪崩が起きて、登山をしていた男性1人が巻き込まれ、警察はヘリコプターを出して救助活動にあたるとともに、雪崩が起きた詳しい状況を調べています。 警察によりますと、雪崩が起きたのは標高2932メートルある白馬岳の「白馬大雪渓」の上部付近で、30代から40代とみられる登山者の男性が友人と2人で下山していた途中で雪崩に巻き込まれたということです。「白馬大雪渓」は、夏でも雪の上を歩いて登山ができるコースとして人気があり、付近の山小屋を利用して年間4万人以上が訪れるということです。 気象台によりますと、28日は長野県内で雪崩注意報は出されていなかったということです。気象台は「気温が高い日が続いていて、気温の差があまりないうえ、天気がよく雪崩が起きやすい気象条件とは言えないのではないか」と話しています。 警察はヘリコプターを出して救助活動にあたるとともに、雪崩が起
4月29日から大型連休が始まり、北アルプスなどは本格的な登山シーズンを迎えます。例年、連休中は悪天候に見舞われたりすると、全国で山岳遭難が多発します。長野県は、「日本の屋根」と呼ばれる北、南、中央アルプスのほか、八ケ岳など全国から登山者が訪れる山岳地域が多くあります。今回は、長野県内で遭難救助のほか、山岳パトロールや登山者の安全指導を担当する長野県警山岳遭難救助隊を紹介します。 長野県警の山岳遭難救助隊、新たに6人加わる 4月11日、長野県庁で長野県警山岳遭難救助隊の結隊式がありました。この春新たに加わった隊員6人を含む32人が出席。3月5日に長野県の消防防災ヘリが墜落し、救助ヘリは県警の2機のみになるなど救助活動が難しさを増す中、迅速な救助や遭難の防止活動に取り組んでいく決意を新たにしました。 式では冒頭、隊員らが墜落事故で亡くなった9人に約1分間の黙禱を捧げました。 その後、県警の尾崎
警視庁は20日、航空隊のヘリ1機と隊員5人を、5月に長野県へ派遣すると発表した。3月に搭乗員の9人全員が死亡した長野県の消防防災ヘリコプター墜落事故が起きたため。登山客の増加が見込まれるゴールデンウイーク(GW)に備え、山岳遭難の救助などに当たる。 警視庁航空隊によると、派遣するのは最大17人が搭乗できる中型機「おおとり4号」。隊員の操縦士2人と整備士2人、救助隊員1人の計5人が、主に1500メートル級の低山で、遭難者救助や遭難防止のパトロールを担当する。期間は5月1日からの8日間。 墜落事故で県唯一の防災ヘリを失い、現在は県警のヘリ2機が稼働している。県は4月上旬、東京都に派遣要請していた。
県山岳総合センターが高校山岳部の顧問や部員向けに開いた雪上講習会。顧問の力量向上が欠かせない=昨年5月、北アルプス針ノ木雪渓(同センター提供) 県山岳総合センター(大町市)が昨年実施した調査で、県内高校で山岳部顧問を務める教員の34%が登山歴5年未満だったことが分かった。一方、登山歴20年以上のベテランは50代以上が大多数で、知識や技術の継承が課題となっている。顧問自身が身に付けたい力は「危機管理能力」が最多。栃木県那須町では3月、顧問が「安全」と判断した斜面でラッセル訓練中に雪崩事故が起きた。安全管理が問われる中、教員が不安を抱えている様子もうかがえる。 調査は昨年6〜7月、県内の全104高校に、登山経験や登山に関する意識を尋ねる用紙を送付。山岳部などがある―とした24校の顧問59人(男性57人、女性2人)が答えた。 登山歴は「5年未満」が20人。一方、20年以上のベテランが29人だ
栃木県那須町で高校生ら8人が死亡した雪崩事故を受け、長野県教委は30日の定例会で、山岳関係者を交えて高校生が冬山に入る際のルールを来冬までにまとめる方針を示した。県外で冬山を禁止する流れが強まる中、山岳県として新たな基準をつくり、生徒が安全を確保しながら冬山に親しむ環境を維持する。 県教委スポーツ課によると、スポーツ庁は高校生以下の冬山登山を原則禁止する方針を示した。県内では登頂を目的としない冬山での訓練山行などは各校の判断に任せている。検討には、県山岳協会会員や高校山岳部の顧問ら、県内の実情をよく知る専門家に加わってもらい、あいまいな「冬山」の定義や入山の際の注意点を定める考え。人選を進め、検討スケジュールを詰める。 原山隆一教育長は定例会後の記者会見で「登山に親しむのは非常に大切だが、前提として安全を保つための基準づくりが必要。冬山に入るのを一切禁じるのはあり得ない」と述べた。
〈長野〉県消防防災ヘリコプター「アルプス」の墜落事故を受けて県内の消防本部や消防局で構成する県消防長会は15日、臨時会議を県庁で開いた。県は今後の、ヘリを使った消防防災体制の再構築に協力を要請し、各本部・局は4月以降の県消防防災航空センターへの人員派遣は1度持ち帰り改めて検討することを確認した。地域消防の中核を担う消防隊員を1度に失って人材の確保に時間がかかる見通しで、県が同センターの機能回復という離陸体勢に持ち込むには困難も予想される。 1時間半近くにわたった会議は、殉職した隊員の冥福を祈る黙祷(もくとう)と阿部守一知事らによるあいさつ以外は非公開で行われた。県は各消防本部・局に改めて同センターへの職員派遣などを要請するとともに、当面の対応方針を説明し、殉職した9人の合同葬を執り行うことに理解を求めた。 消防長会会長の滝沢親男(ちかお)長野市消防局長は終了後、隊員派遣について「各消防本部
松本市入山辺の山中に県消防防災ヘリコプター「アルプス」が墜落し、搭乗者9人全員が死亡した事故で、松本署の捜査本部が業務上過失致死容疑で、関係箇所の家宅捜索など強制捜査に踏み切る方針を固めたことが11日、分かった。時期は現時点で未定。ヘリは墜落地点の北西にある尾根を低空で越えようとしてカラマツ林に接触、墜落した可能性があり、パイロットの操縦の状況や機体の重量などが捜査の焦点となる。 捜査本部は搭乗員が機内から撮影していた映像や現場検証の結果を基に、尾根付近で低空での飛行となった原因を調べている。事故当日、ヘリには通常の出動時の倍近い人数が訓練のため乗り込み、規定の上限に当たる約820リットル(約1時間半分)の燃料を積んで離陸していたことが分かっている。機体が十分な揚力を得られていなかった可能性が浮上しており、当時の機体の重量や気象状況などを確認している。 捜査本部は関係者の事情聴取を順次
5日、長野県松本市の山の斜面に県の防災ヘリコプターが墜落し、9人が死亡した事故で、墜落現場より標高が高い尾根の林で、複数の木の先端部分が切り取られたようになるなど、ヘリコプターの機体が接触したと見られる痕跡があることが、警察への取材でわかりました。警察は、木に接触したあと墜落した可能性があると見て調べています。 警察は7日、業務上過失致死の疑いで捜査本部を設置するとともに、墜落現場で検証を行い、機体と周辺の状況を詳しく調べました。 ヘリコプターは標高1700メートルの斜面に墜落していましたが、その後の調べで、墜落現場より標高が高い尾根の林で、機体が接触したと見られる痕跡があることが、警察への取材でわかりました。 複数の木の先端部分が切り取られたような状態になっていたほか、周辺には折れた木の枝や機体の一部と見られる部品なども散乱していたということです。 この事故では、搭乗していた消防隊員が離
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