年間60万人以上の登山客が訪れる信州で、山の施設の維持管理や遭難救助など、山岳経費のあり方について議論が始まった。登山ブームで入山者が増えるにつれ、遭難件数や環境負荷が増加。地元負担は増大しつつあり、入山税や協力金といった登山者の応分負担も検討する考えだ。課税をめぐっては、一定の理解を示す愛好者がいるものの、客離れの懸念などから「任意の協力金にとどめるべきだ」と慎重論も根強い。南信地方の山岳エリアで賛否を尋ねた。 ■昨年の山岳遭難 過去最悪227件 「県外から訪れた登山者を救助するのに、県民の税金を使うのはいかがか」。昨年9月の信州型事業仕分け。遭難救助経費をめぐる厳しい意見が一つのきっかけとなり、県は県地方税制研究会に費用負担の検討を要請、識者でつくる専門部会が動き出した。 県警によると、昨年の登山者数は約63万8000人。03年以来8年ぶりに60万人を突破した一方、山岳遭難は過去最