■江戸が今も生きている 建て替えのため、4月30日の閉場式を最後に歌舞伎座(東京・東銀座)が3年間の休場期間に入った。その歌舞伎の殿堂に、江戸の狂言作者・河竹黙阿弥の曾孫として、長じて比較演劇学を確立した学者として、物心ついたころからかかわり続けたのが河竹登志夫さん(85)だ。「歌舞伎座は、江戸が今も生きる場」と賛辞を送る。(飯塚友子) ◇ −−現歌舞伎座が老朽化のため、60年の歴史を閉じました。国劇の殿堂だけに、さよなら公演は社会的関心を集めました 河竹 「歌舞伎座」の名は、簡単な名前ではない。日本の伝統演劇そのものの名前を付けているわけで、それにふさわしいものでなければならない大きな責任があると思います。それに応えてきたわけで、その点だけでも劇場として格が違う。最初は改良演劇場とか改良座とか付けるつもりだったけれども、思い切って歌舞伎座と名付けたのは