京都アスニー(京都市中京区)で3月2日、「認知症にやさしい図書館とは? by阪大 Part VI」が行われた。 高校生が考えた「日めくりカレンダー」 図書館に認知症の人が訪れることが多いことを背景に、2016年に大阪大学で始まった同会。2017年10月には「超高齢社会と図書館研究会」が、「認知症にやさしい図書館は、みんなにやさしい」をコンセプトとした「認知症にやさしい図書館ガイドライン」を策定した。 この日は図書館関係者、福祉や行政関係者ら80人が参加。「図書館では個人情報を提供できないが、どのように外部機関に連絡すればいいか」といった質問や、福祉施設運営者からも「図書館を使う利用者は多く、図書館にあらかじめ伝えておきたい。職員の方は忙しそうにしているが、誰に言えばいいのか」という質問が出た。 これに対し「『ちょっと来てもらえませんか』で、できる限り対応している」という地方包括ケアセンター
75歳以上になって運転免許更新時などに認知機能検査を受けた高齢者の中で、昨年1年間に交通死亡事故を起こしたのは385人で、うち49%となる189人が認知症の恐れがある「第1分類」か、認知機能低下の恐れがある「第2分類」と判定されていたことが15日、警察庁のまとめで分かった。 2015~17年に認知機能検査を受けた75歳以上の約525万人全体の分析では、第1分類と第2分類は32%。警察庁の担当者は改めて「死亡事故を起こした高齢運転者は認知機能の低下がより進んでいた」と指摘し、運転技能に不安を感じた場合の免許の自主返納などを呼び掛けている。 0 : 0narrow-browser-and-phonemedium-browser-and-portrait-tabletlandscape-tabletmedium-wide-browserwide-browser-and-largermedium-
75歳以上のドライバーの認知機能検査を強化した改正道路交通法が昨年3月に施行されてからの半年間に、認知症の恐れがある「第1分類」と判定され、自主的に運転免許証を返納した静岡県内の高齢者は484人で、全国最多だったことが警察庁のまとめで分かった。2位は愛知県の279人。人口は同県の半分程度にもかかわらず、自主返納者数は2倍近くと突出しており、県警は「かかりつけ医」を活用した本県独自の取り組みが奏功していると分析している。(石原颯) 現在、75歳以上の高齢ドライバーは免許更新時と一定の交通違反をした場合に、判断力や記憶力をチェックする認知機能検査を受けることが義務づけられている。 検査では(1)認知症の恐れがある「第1分類」(2)認知機能低下の恐れがある「第2分類」(3)問題なしの「第3分類」-のいずれに当たるかを判定。これまでの制度では、第1分類と判定された人は免許更新後に一定の交通違反をし
豪州 運転能力の評価に実車60分 ビクトリア州では認知症がある人の免許について、かかりつけ医や専門医の意見書と作業療法士(OT)による運転評価、過去の違反歴などを中心に継続か取り消しかを判断している。 運転評価は、専門の研修を受け、免許当局「ビクロード」が認定したOTが担う。体を指示通り動かせるか、運転に関わる法律を理解しているかなどを約90分でみるほか、約60分の実車もある。補助のブレーキとアクセルが付いた助手席に運転指導員、後部座席にOTが同乗し、本人が日頃運転する地域などで行う。認定OTのルイーザ・キングさんは「ほかの病気の人と比べて評価が難しいことはない」とする。 市民も今の制度を受け入れているようだ。運転の適性評価に携わる同州法医学研究所のモリス・オデル臨床法医学部門長は「認知症の人でも状態次第で運転を認めることが、社会問題にはなっていない」と話す。 距離や時間帯が限定された免許
認知症かどうか受診する人の急増で、一般の人を含む患者の早期治療に支障が出るかもしれない――。認知症ドライバーへの対策を強化する改正道路交通法の施行まで1カ月を切る中、治療拠点となる認知症疾患医療センターへの朝日新聞社の全国調査でこんな懸念が浮かび上がった。現場では専門医不足を補うための模索が始まっている。 島根大学医学部付属病院(島根県出雲市)の新規の認知症患者は年約200人で、認知症疾患医療センターの予約から受診までの期間は今も1~2カ月かかる。新年度に「認知症のおそれ」と判定され、受診を求められる県内のドライバーは県警の推計で約800人。山口修平センター長は「受診待ちは3~4カ月になる可能性もある。治療を必要とする人への診療が遅れることが心配だ。医師会とも相談して対応を検討中」と話す。 あずま通りクリニック(福島市)の小林直人院長が最もおそれるのも、緊急対応が必要な認知症患者への初期対
写真や絵などを多用し、障害を持つ人も楽しめるよう構成された「LLブック」。北欧で盛んに出版されているこの本を日本でも普及させようと、NPO法人コミュニケーション研究センター(橿原市)と県内3公共図書館の指定管理会社が「LLブックをひろげる会」を作った。【矢追健介】 LLは「やさしく読みやすい」というスウェーデン語の略。理解しやすいよう写真やイラスト、絵文字、短い言葉を多く使う。北欧では1960年代から出版され、知的障害、学習障害などで読み書きが苦手な人のほか、認知症の人などにも親しまれている。 「ひろげる会」の結成は、同センター代表の島岡将・茨城大名誉教授が「読書が困難な人のために本の世界の扉を開こう」と呼び掛けた。桜井市立図書館など県内3館の指定管理者「図書館流通センター」(東京都)が応じ、同図書館で今年6月、LLブックの第一人者、藤沢和子・大和大教授を招いて県内初の学習会が開かれた。
今回のテーマは「認知症と運転」です。認知症が疑われるドライバーの交通事故が起きています。一方で、運転は買い物や通院など、自立した暮らしを支えています。運転の中止・続行は暮らしと命に関わる選択で、簡単に決められることではありません。まずはドライバー本人や家族から届いた様々な意見を紹介します。 人を事故に巻き込んだら――。認知症とわかった後もハンドルを手放さない身内について、苦悩する人は少なくありません。2人の女性に体験を聞きました。 ◇ 「危ないから免許を返納しようよ」 三重県の主婦(54)は、70代後半の父親と向き合い、何度も説得しました。3年前のことです。母親はすでに亡く、父親と同居していた弟が「よそ様を巻き込んだらどうするのか」と詰め寄りました。 認知症と診断された後も、父親は毎日のように軽トラックで趣味の畑に出かけていました。「遠出をしなければ……」と当初は思ったそうです。でもある日
2014年に発生した鉄道事故は28件 国土交通省には全国約200の鉄道会社で起きた鉄道事故やトラブルの詳細報告が毎日のように届き、2014年度からは当事者が認知症かどうか把握した場合には報告に加えるよう指示している。 高齢者による事故が後を絶たないことから、現在は記憶力や判断力などの認知機能が低下した認知症患者に対して免許更新の要件が厳しくなっているものの、未だ認知症患者が線路内へ車で立ち入るケースは多く、認知症と診断されながらも車の運転をしている人は多いと容易に想像ができる。 今回は認知症患者が関わっている鉄道事故をまとめた。 列車と衝突、事故後に認知症と診断(JR篠ノ井線) 6両編成の特急列車が走行中に路線内に停止していた自動車と衝突し、列車の1両目が脱線した。幸いこの事故による死傷者はいなかった。降車した車掌が線路内で70代の男性を発見、男性は長野市在住ということ以外はっきりとした返
認知症の当事者でつくる「日本認知症ワーキンググループ」が、地域社会でよりよく暮らしていくための提案をまとめた。その中で「私たちが外出することを過剰に危険視して監視や制止をしないで」などと要望。認知症の男性が列車にはねられた事故で遺族がJR東海から損害賠償を求められた訴訟をめぐり、3月1日に言い渡される最高裁判決を前に打ち出した。 この訴訟の一、二審では、認知症の人による徘徊(はいかい)について他人に害を及ぼす危険性がある行為と判断。介護に関わる人からは、最高裁の判決次第で認知症の人を閉じ込める方向に進む懸念が示されている。 今回の提案では、過剰に監視したり外出を制止したりすることは「私たちが生きる力や意欲を著しく蝕(むしば)む」と指摘。これから高齢になる人たちも希望や尊厳を持って生きられなくなる、と訴えた。 そのうえで、認知症の当事者と地域の様々な人たちが一緒になって、外出を当たり前のこと
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