介護を必要とする高齢者の中には、日本語以外の言語を話す人や、さまざまな歴史的背景を持つ人がいます。そうした高齢者のニーズに応えようという取り組みも始まっています。中国残留邦人の帰国者や在日コリアン向けの介護事業所の活動を紹介します。 埼玉県所沢市の訪問介護事業所「虹」は、利用者15人のうち9人が帰国した中国残留邦人だ。スタッフ9人のうち7人が中国語を話す。 ケアマネジャーで介護福祉士の上條真理子さん(39)がこの春、要介護5の木村和子さん(77)の自宅を訪れた。認知症が出始めた夫も、訪問介護を利用する。上條さんは木村さんが薬をちゃんと飲んでいるかを確かめ、その後ポータブルトイレを片付けた。やりとりはすべて中国語だ。 夫妻はほとんど日本語が話せない。木村さんは戦後、中国で孤児となってとどまった残留孤児で、現地で中国人の夫と結婚。1988年に帰国した。 昨年、木村さんは骨折して介護施設に入った