切り立った岸壁の足元に黒潮がぶつかり、白い波しぶきを立てている。あと数歩先に踏み出せば、男性(46)の体はその波間に吸い込まれていただろう。「怖い」。足がすくみ、「決意」が揺らぐ。3時間ほど、その場をさまよったはずだ。4年前のその時の記憶は鮮明ではないが、確かなことが一つある。生と死の間で男性は、電話ボックスと聖書などの言葉が書かれた看板を目にした。 「わたしの目には、あなたは高価で尊い。わたしは、あなたを愛している」「重大な決断をするまえに一度是非ご相談ください 連絡をお待ちしています」 高さ50~60メートルの屹立した断崖と青い海が美しい和歌山県白浜町の三段壁(さんだんべき)。観光地として知られるこの場所を、人生の最期の地に選ぶ人たちがいる。この男性もそうだった。しかし、「三段壁いのちの電話」の看板を見て、受話器を手にした。電話はNPO法人「白浜レスキューネットワーク」につながった。す
経済的に困窮する小中学生の家庭に学用品費などを助成する就学援助制度で、生活が苦しい「準要保護世帯」の認定条件となる所得基準に、九州の市町村間で最大3倍超の格差があることが、西日本新聞とNHKが九州・沖縄の全市町村・組合の教育委員会に実施した調査で分かった。4人家族の課税所得が383万円程度で受給できる町がある一方、120万円以下でなければ受給できない町もある。「学ぶ機会の平等」を保障するはずの制度に、大きな地域格差がある実態が初めて明らかになった。 九州・沖縄の全276教委にアンケート 就学援助の対象には、国の基準に沿って生活保護を受ける「要保護世帯」と、市町村が独自に認定基準や補助費目を定める「準要保護世帯」がある。準要保護世帯への就学援助については、国と地方の税財源を見直す「三位一体の改革」で国庫補助が2005年度に廃止され、市町村に財源と権限が移譲された。 制度の運用実態を探るため本
3月8日、著書『生活保護リアル』(日本評論社)にまとめられたネット連載など、生活保護についての多角的な報道を重ねた功績で貧困ジャーナリズム大賞2014を受賞されたみわよしこさんと、『困ったときには図書館へ~図書館海援隊の挑戦〜』(悠光堂)の著者である神代浩さんによる、第4回LRGフォーラム「貧困と図書館 困ったときに頼れる図書館へ」を聞きに行った。貧困と図書館。生活保護と図書館。一見不思議かもしれないこの組み合わせの接点とは何なのか。 しかしこの問いに入る前に、そもそも図書館とは何かということを考えてみたい。登壇者のお一人である神代さんは文科省の社会教育課長時に、住民がかかえる問題の解決を助ける各地の図書館を応援するための図書館海援隊という取り組みを始めた方である。私は神代さんの活動を最初に知ったとき、先に社会問題があって、そこから図書館に何ができるのか考える、という点に魅力を感じた。 先
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