パソコンやスマートフォンの普及で、子どもたちがふとした拍子に過激な性的表現に触れてしまうことがある。一方で、学校での性教育には「寝た子を起こすな」という考えも根強い。保護者や身近な大人が、子どもに正しく性の知識を伝えるにはどうしたらいいのか。 「どうしたら妊娠するか、学校では教えてくれない。親たちが逃げずに伝えて」。神奈川県相模原市の助産師、在川(ざいかわ)有美子さん(39)は5月半ば、親向けの性教育講座で約15人の参加者に、こう呼びかけた。10代で出産するリスクなどを解説し、「妊娠を『だめ』と言うのではなく、何でだめなのか一緒に考えてあげてほしい」と話した。 在川さんは約3年前から、市内の小中高校で命や性に関する授業をしている。だが、学校側から「性交渉」「コンドーム」などの言葉を使わないよう求められることがあり、性のことを理解してもらうには、幼いころから「土台」をつくっておくことが必要だ
女性が男性から被害を受けるものと考えられがちだった性暴力。昨年7月の刑法改正で、男性が受けた強制性交も罪に問えるようになった。岐阜県は新年度から性被害を受けた男性への支援を本格化。声を上げられずにいた男性被害者の救済を目指す。 男性相談員を配置、泌尿器科とも連携 岐阜市にある「ぎふ性暴力被害者支援センター」。神谷淳彦さん(70)は、今月から同センターの相談員になった。不定期でセンターの電話窓口に待機し、性暴力の被害者から相談を受ける。 13年間、県公安委員会が認定する「ぎふ犯罪被害者支援センター」の犯罪被害相談員などとして被害者の相談にのってきた。性被害者に対しても「一人一人に寄り添い、丁寧に話を聞きたい」と気持ちを新たにする。 「ぎふ性暴力被害者支援センター」には、神谷さんのような男性相談員が新年度から6人配属され、第2、第4火曜日の午後4時から8時まで相談を受ける。これまでは女性ばかり
児童買春などの性被害を受ける18歳未満が増加しており、愛知県警は被害防止に向けて4月から、子どもたちの支援に乗り出した。無料の性病検査や医師の面談、性教育セミナー、就学・就労支援を一元的に行い、性の意識改革や健全な成長をサポートしていく。 全国の警察で初の取り組みとみられ、県警少年課は「継続的な支援で被害を減らしたい」としている。併せて、性の知識に関する小冊子も作製した。 警察庁によると、児童買春や淫行(いんこう)などの性被害者となった18歳未満の子どもは昨年、全国で1823人確認され、2013年の1776人から47人増。特に愛知県内の昨年の被害者は136人で、13年の99人から4割近く増えた。捜査関係者は「これらは事件化された被害者数に過ぎず、潜在的な被害者はもっと多い」と指摘する。
エール8期生の(左から)伊達智子さん、森田菜帆さん、大谷沙也加さん、西本ひかるさん、原本実佳さん=岡山市北区で2018年3月10日午後9時27分、林田奈々撮影 当事者と同じ目線に立って支援する「ピアサポーター」として、インターネット掲示板で性に関する悩み相談を8年にわたって受け付けている大学生グループがある。養護教諭を目指す岡山大4年生でつくる「ELL」(エール)。産婦人科医の指導を受けながら、時に悩みながらも相談に真剣に向き合っている。【林田奈々】 「性感染症の検査をしたいけど親にばれるのが心配」「性器の形がおかしいのでは」「周りは彼氏ができているのに私だけできない」「生理が遅れて不安です」-。エールが運営する掲示板には口にしづらい悩みを抱えた人たちが相談を寄せる。メンバーは順番に回答を担当し、返信する。 エールの活動が始まったのは2010年。きっかけは、岡山市内で産婦人科のクリニックを
小さないのち みんなで守る 朝日新聞が都道府県などに取材したところ、2013~16年度の4年間に路上などに遺棄された子どもは少なくとも58人いた。多くが生後間もない赤ちゃんで、妊娠を家族らに打ち明けられず、孤立したまま出産し、遺棄に至ったケースが多いとみられる。 予期せぬ妊娠をしても、児相や病院、電話相談窓口など、どこかに相談すれば何らかの支援につながり、赤ちゃんが遺棄される事態は防げる可能性が高い。だが、東京・渋谷など街頭で若者に声をかけたり、若い女性からの相談に乗ったりしているNPO法人・BONDプロジェクト代表の橘ジュンさん(46)は、困難な状況なのに自分からSOSを出せない女性たちを多く見てきた。 街で出会ったある少女は「妊娠したが、相手がわからない」と話し、橘さんとまず病院に行く約束をした。しかし、約束の時間に彼女は現れなかった。「『自分を否定されたくない』などと、相談に大きな抵
同性婚先行導入州で高校生の自殺率低下、米調査 【ワシントンAFP=時事】米国で連邦レベルでの合法化を前に同性婚の権利を認めた州では、高校生の自殺および未遂の発生率が低下したとする調査結果がこのほど発表された。(写真は資料写真) 同性婚を合法化した州では、ゲイ、レズビアン、バイセクシュアルの若者の自殺および未遂の件数が14%、全体では7%減少した。調査結果が20日、米国医師会小児科専門誌に発表された。 調査では、2015年1月以前に同性婚を合法化した35州のうちの32州と、合法化していなかった州とを比較した。同性婚は最高裁の判決により2015年6月に全国レベルで合法化された。 これらの同性婚を認めていなかった州では、自殺未遂率の低下は見られなかった。 調査研究を率いたジョンズ・ホプキンス大学のジュリア・レイフマン氏は、「同性婚の承認は、性的指向に関連する社会的なスティグマ(レッテル貼
保険証の通称表記について「公平な対応をしてほしい」と訴えるGID当事者の会社員=東京都で2017年2月12日、鈴木拓也撮影 心と体の性が一致しない性同一性障害(GID)の人が保険証で通称名を表記することについて、自営業者が加入する国民健康保険で厚生労働省が「保険者の判断で可能」と認める一方、会社員が加入する社会保険で認めていないことが分かった。GIDの当事者は「保険の種類で通称表記の可否が異なるのはおかしい」と国に公平な対応を求めている。 神奈川県在住で戸籍上は男性だが女性として生活する40代の会社員は今月1日、京都市で自営業のGID当事者の通称表記が認められたことを知り、加入する健康保険組合を通じて同省関東信越厚生局に問い合わせたところ、「(通称表記は)認められない」と言われた。
繁華街では、言葉巧みに女性たちを風俗店やキャバクラで働くように勧誘する「スカウトマン」たちをよく見かける。彼らの行為を迷惑だと感じる人もいるはずだ。10月下旬には、路上でスカウトした女性を性風俗店に紹介したとして、大阪府警が職業安定法違反(有害業務の紹介)の疑いで、人材紹介会社の社長らを逮捕したと報じられている。 路上でよくみかけるスカウト行為だが、本当は違法なのだろうか。風俗店にかぎらず、キャバクラ、アダルトビデオなどをめぐる路上でのスカウト行為には、どのような法的な問題があるのだろうか。大川一夫弁護士に聞いた。 ●「職業安定法」では原則、スカウトを禁止 「結論から言えば、路上でのスカウト行為は、職業安定法と迷惑防止条例によって禁止されています。 まず前提として、労働者の募集、職業紹介、労働者供給について定めた職業安定法では、原則として、『労働者供給』を禁止しています(職安法44条)。ス
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