子どもと貧困 生活保護世帯の子どもが平均より高い割合で高校を中退している。背景に貧困の影響を指摘する声があり、中退後の学び直しや中退を防ぐための新たな支援が始まっている。 10月中旬。中退や不登校を経験した若者らが通うさいたま市の自立支援施設で、少年(17)が数学の問題を解いていた。「-4の2乗×(-3の2乗)はどうなる?」。横についた男性職員に教わり、ペンを動かす。 中学で習ったはずだが記憶はおぼろ。高校卒業程度認定試験(旧大検)の合格をめざし、苦手な数学に取り組むが、「道は険しいですね」とつぶやいた。 中学の時、父親の借金で自宅が差し押さえられ、両親が離婚。子どもを引き取った母親は重いうつ病で働けず、生活保護を受けた。 少年は弟と妹の世話や家事を…
文部科学省は経済的に苦しい世帯の新入生に支給している学用品費の一人当たりの支給額(単価)を、ほぼ倍額に引き上げる方向で財務省と協議を始めた。生活保護世帯が直接の対象だが、国が定める単価は、自治体が独自の財源で「準要保護世帯」に支給する就学援助の事実上の目安になっており、文科省は自治体が同調することを狙っている。 「新入学児童生徒学用品費」は文房具や辞書、制服やランドセル、通学用自転車など、入学前に学校生活に必要なものを買う費用として支給され、現在の国の単価は小学生が2万470円、中学生は2万3550円。それぞれ倍額をめどに引き上げる方針だ。 保護者の間では、制服など入学前の実際の負担額に対し、支給額が少ないという声が上がっていた。このため、自民、公明両党も今春、この単価の引き上げを提言。文科省は2017年度の予算概算要求に、国が費用の2分の1を補助する生活保護世帯への増額分を盛り込んだ。
学校が始まっても、小3の男児は家の玄関先でうずくまっていた。 「お母さんが仕事で夜中まで帰ってこない。妹は寝るけど、僕は不安で寝られへん」。家と連絡が取れず訪ねてきた男性教諭に言った。母親は部屋で寝ているという。「行こ。しんどかったら、保健室で休んでええから」。教諭は手を差し伸べた。 2013年6月、関西のこの小学校に週に1度、女性スクールソーシャルワーカー(SSW)が来る日だった。SSWは男児の教室をのぞいた。授業で先生の話をよく聞いていた。「学校に来れば頑張る子。登校できる環境づくりが必要」とみた。 男児は母親の離婚を機に前年末に転入。母親はハローワークで職が見つからず、スナックで週6日働き、未明に帰宅。男児はしばしば欠席した。 夕方、問題を抱える子どもの支援を検討する「ケース会議」で、男児のケースが話し合われた。「まずは経済的な安定を」。SSWは母親に生活保護を受けさせ、昼の仕事に変
1963年、福岡市長浜生まれ。1990年、東京理科大学大学院修士課程(物理学専攻)修了後、電機メーカで半導体デバイスの研究・開発に10年間従事。在職中より執筆活動を開始、2000年より著述業に専念。主な守備範囲はコンピュータ全般。2004年、運動障害が発生(2007年に障害認定)したことから、社会保障・社会福祉に問題意識を向けはじめた。現在は電動車椅子を使用。東京23区西端近く、農園や竹やぶに囲まれた地域で、1匹の高齢猫と暮らす。日常雑記ブログはこちら。 生活保護のリアル~私たちの明日は? みわよしこ 生活保護当事者の増加、不正受給の社会問題化などをきっかけに生活保護制度自体の見直しが本格化している。本連載では、生活保護という制度・その周辺の人々の素顔を紹介しながら、制度そのものの解説。生活保護と貧困と常に隣り合わせにある人々の「ありのまま」の姿を紹介してゆく。 バックナンバー一覧 戦後7
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