「御用聞き」に対するニーズが拡大している理由は簡単だ。「家族で助け合う」ことが困難になっているからである。そこで、第三者の手を借りる必要が出てくる。 まず、「家族」がいない人がいる。身寄りのない高齢者をはじめ、単身者は増える一方である。さらに、様々な事情により、「近くに住む家族」がいない人がいる。これも事実上の単身者といえるだろう。 また、冒頭で少し触れたように、高齢化などに伴って、医療や福祉などの支援が不可欠となり、それらの仕組みがないと「家族」そのものが維持できないといった問題が深刻化している。いわゆる「老老世帯」における「老老介護」が典型だ。 以上のような状況に追い打ちをかけているのは、地域そのものの分断と孤立化の進行である。 一昔前であれば、ご近所付き合いが活発で、銭湯などの社交場があり、世話焼きおばさん・おじさんが必ずいた。このような生活環境がすでに衰退してしまったため、一人ひと
「♪いくさ 津波を生き抜いて 明日を描く笑顔です-」。童謡「うさぎとかめ」の節に合わせた歌声が響く。宮城県岩沼市たけくまの集会所で11日、開かれた「傾聴カフェ」。集まった30人近い地元の高齢者は歌を歌ったり、世間話を楽しむなどした。 傾聴カフェはNPO法人「仙台傾聴の会」が主催。被災者や地域の高齢者が、世間話や合唱を通して心を軽くしたり、人とのつながりを実感したりするのが目的。同日に参加した同市の元県庁職員、佐藤堯さん(85)「みなさんと歓談したり、歌ったりするのがよい。いつも次回を楽しみにしています」と話す。 同会は平成20年に設立され今年で10年目。悩める人の声を聴く活動を行っていたが、東日本大震災以降は避難所や災害公営住宅での傾聴活動にも注力するようになった。カフェ以外にも相談を受けるサロンや被災者支援傾聴茶話会も開催。現在、傾聴を担うボランティアは200人を越える。 同会の代表、森
高齢者や障がい者をサポートするという倫理的な営みと、「福祉をビジネスとして成功させる」という野望は、決して矛盾しない。いや、むしろ、そのふたつの思いが交差するところにこそ、日本社会における福祉の未来はある──。 要介護者など高齢者の付添い介護付き旅行事業を展開するNPO法人しゃらく代表理事・小倉譲さんの話を聞いていると、そう確信させられる。 思うように体が動かせず、徐々に心が閉じていってしまう、介護が必要な高齢者や障がい者の人々に、驚くほどのエネルギッシュさで、彼は「旅」を提供し、彼らが人生の豊かさを取り戻すサポートをしている。 「やり手のビジネスパーソン」ともいうべき手腕を発揮しながら、福祉業界を新たなフェイズに移行させようとしているパイオニアの話は、どこまでも熱を帯びている。 NPO法人しゃらく代表理事・小倉譲 ──要介護者を中心にした高齢者の付添い介護付き旅行を中心事業に、オーダーメ
あえて店舗などのシャッター前を活用 認知症の人や子ども連れ、その家族らが気軽に足を運ぶことができ、悩み事の相談や情報交換ができるコミュニティカフェを始めるにはどうしたらいいのか? NPO法人おやこカフェが、空き家や空き店舗を借りてコミュニティカフェを作りたい人を応援する「軒先珈琲プロジェクト」パートナー第2期目をクラウドファンディングで募集しており、締め切り間近となっています。「軒先珈琲プロジェクト」とは、地域の居場所を気軽に始めやすくするために、あえて店舗などのシャッター前を利用してカフェを作るプロジェクトです。 このプロジェクトでは、10万円でシャッター前にカフェを始めることができるコースが用意されています。 軒先でカフェを始めるのに必要なものが揃う 空き家や空き店舗を借りてコミュニティカフェを作ろうとすると、開業資金だけでおよそ700万円かかると言われています。しかし、このクラウドフ
北九州市のNPO法人抱樸(ほうぼく)(奥田知志理事長)は、家賃保証会社のリクルートフォレントインシュア(RFI、東京)と連携し、民間住宅の賃貸を断られることが多い単身高齢者や低所得者を支援する事業を今夏から始める。抱樸から就労支援などを受けることを条件に、RFIが家賃滞納時の保証を請け負って借りやすくする。全国でも珍しい取り組みという。 民間住宅を借りる人は、滞納に備えて連帯保証人を求められるのが一般的。だが、単身高齢者は親族も高齢で保証人を立てられないケースが多い。保証会社の審査も通らず、収入に見合わない家に住んで家計が圧迫されたり、労働条件の悪い住み込みの仕事に就かざるを得なかったりして、生活に困窮する問題がある。 新事業でRFIは、抱樸の就労支援や家計相談を受けることを条件にした保証プランを新設。通常の審査には通らない人でも引き受ける。保証内容や保証料は一般と大きく変わらない。
介護保険は2000年の発足からわずか16年で、全国に普及、利用者は3倍超に急増し、「介護」(という名の日本的な高齢者ケア)を世界に知らしめた。今や介護保険は高齢社会日本にとって欠かせない重要な社会的インフラストラクチャーとなっている。世界からも注目され、とくに東アジアでは韓国や台湾が日本の介護保険を参考にしながら対応しようとしている(注1)。介護保険は高齢化という先進国共通の大きな問題へのクリーン・ヒットだったのだ。 ところが、このままでは介護保険財政は破綻するとして見直しを求める意見がたえない。昨年出された「介護保険制度の見直しに関する意見」(社会保障審議会介護保険部会)を見ても、介護費用が増大し、これから団塊の世代が後期高齢者になることなどを理由とし、見直しは避けられないとしている。 しかし介護保険は「高齢社会における介護の社会化」が目標だった。つまり、利用の拡大は成功のはずなのだ。と
11月中旬、横須賀市内の寺を訪れると、永代供養墓の棚に、二つの骨つぼが白いひもで結ばれて並んでいた。 「私が死んだら、夫の遺骨の横に置いてほしい。でも、だれも見てくれる人がいないし、ちゃんと入れてくれるのでしょうか」 市内の女性(81)からそんな相談があったのは今年3月のことだった。1月に夫を亡くし、独り身となった。頼れる身内はおらず、市に相談で訪れた。その2カ月後、女性も夫の後を追うように亡くなった。 6月。市の立ち会いの下、女性が生前に葬儀社と交わした契約に基づき、女性の遺骨は無事、夫の骨つぼとひもで結ばれた。 昨年7月の事業開始以来、120件に上る相談があった。うち9人が成約し、2人が亡くなった。 横須賀市の人口約41万人のうち、65歳以上は約12万人。このうち独り暮らしの人は増加傾向で、2015年には1万人を超えた。 一方、引き取り手のない無縁遺骨も増加傾向。03年度は16人だった
NPO法人のささえあい(名古屋市、神尾隆理事長)が年内に、現役時代に身に付けた技能を生かして社会で活躍したいシニア世代と、人材を必要とする企業を引き合わせる事業を始める。少子高齢化を背景に人手不足の傾向が強まっている。愛知県でも中堅・中小企業が必要とする人材を集められない事例が増えており、新事業を通じて課題解決を支援する。ささえあいは2009年に発足し、トヨタ自動車など地元企業のOBや幹部が理
全国の身寄りのない高齢者から身元保証をするなどとして、およそ9億円を預かって破綻した、かつての公益財団法人「日本ライフ協会」の債権者集会が大阪で開かれ、出席者からは、協会の幹部や公益法人に認定した国に対する憤りの声が出ました。 日本ライフ協会は、身寄りのない高齢者の入院時の身元保証や、葬儀や死後の事務手続きの代行をするとして全国の2600人余りからおよそ9億円を預かっていました。しかし、ことし1月、2億7000万円余りを職員の人件費などに流用していたことが国の検査で明らかになり、公益財団法人の認定が取り消され、その後、破産手続きが進められています。 債権者集会は非公開で行われ、出席者によりますと、破産管財人の弁護士が、協会には負債が11億円ほどあり、資産が足りないため高齢者には預け金の全額は戻らないと説明したということです。出席者からは「足りない分を協会の幹部に支払わせることはできないのか
「刑務所に戻りたかった」と、JR下関駅(山口県下関市)に放火した男性(84)は8月に刑期を終え、福岡県内の施設で暮らしている。司法と福祉が連携して支えることで「もう刑務所には戻りたくない。好きな人に囲まれて最期を迎えたい」と笑顔も見せる。社会に居場所がないために罪を重ねる「累犯障害者・高齢者」の問題を浮き彫りにした事件から10年、男性の笑顔は罪と更生の在り方を問うている。 男性は74歳だった2006年1月7日未明、下関駅に放火して焼失させた。被害額は5億円以上で、懲役10年の判決を受けた。判決は「軽度知的障害で、かつ高齢でありながら、刑務所を出所後、格別の支援を受けることもなかった」と指摘した。 当時、男性は放火の前科が10件あり、22歳以降の40年以上を刑務所で過ごしていた。過去の裁判で6回も知的障害などを認められたが、一度も障害福祉サービスにはつながらなかった。 下関駅の事件は、
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