判断力が弱った高齢者は詐欺商法に狙われやすい。被害を少しでも食い止めようと、信用金庫のOBたちを集めた団体が成年後見人になり、認知症のお年寄りの財産管理に乗り出す動きが全国に広がっている。 梅雨寒のある日、城南信用金庫を退職した清水幸雄さん(70)は、介護福祉士や社会福祉士の資格をもつ上田早苗さんと東京・品川の賃貸住宅を訪れた。2人は品川に支店がある5信金が作る「しんきん成年後見サポート」のスタッフだ。6畳一間に住む70代の男性は認知症の傾向がある。 テレビを凝視する男性に、上田さんが「ワールドカップを見るの?」と話しかける。「私は野球だから……」「どのチームが好き?」「……西鉄。稲尾」 男性は数十年前に上京し、故郷とは音信不通。病が襲い、生活がままならなくなった。親族に代わって品川区長が家裁に法定後見を申し立て、同サポートが受任した。以来2年半、2人は毎月、男性宅を訪れ、管理する口座から
日本では、世界の先陣を切って未曾有の高齢化が進むため、今後は経済システムやその背後にある価値観なども大きく変わっていくと予想される。経済システムは、大きく3つのメカニズムで動いていると考えられる。税金を基礎とした公共メカニズム、需要と供給を基礎とした市場メカニズム、家族や地域での協力を基礎とした共同体メカニズムである。 この記事で伝えたいのは、次の2点だ。1つは明治維新から最近まで、日本で市場メカニズムと個人主義の重要性が増してきたのに対し、今後は共同体メカニズムの重要性が増すようになっていく、大きな時代の転換期になること。もう1つは、明治維新が危機の時であったとともに、時代の変化を先見したリーダーたちが、政治、教育、ビジネスを含む多くの分野で活躍した時であったように、今は多様な個人を大切にする新しい共同体を構築したり発展させたりしていくリーダーシップを取る人たちのチャンスの時でもあること
認知症の人が一人で外出したり、道に迷ったりすることを「徘徊(はいかい)」と呼んできた。だが認知症の本人からその呼び方をやめてほしいという声があがり、自治体などで「徘徊」を使わない動きが広がっている。 「目的もなく、うろうろと歩きまわること」(大辞林)、「どこともなく歩きまわること」(広辞苑)。辞書に載る「徘徊」の一般的な説明だ。 東京都町田市で活動する「認知症とともに歩む人・本人会議」メンバーで認知症の初期と診断されている生川(いくかわ)幹雄さん(68)は「徘徊と呼ばれるのは受け入れられない」と話す。散歩中に自分がどこにいるのか分からなくなった経験があるが、「私は散歩という目的があって出かけた。道がわからず怖かったが、家に帰らなければと意識していた。徘徊ではないと思う」。 認知症の本人が政策提言などに取り組む「日本認知症本人ワーキンググループ」は、2016年に公表した「本人からの提案」で、
認知症が疑われる人が来店したら手を差し伸べよう――。名古屋のコンビニエンスストア業界が系列の垣根を越え、そんな活動に力を入れ始めた。きっかけは、認知症が原因で行方不明になった父を亡くした女性の訴えだった。 名古屋市の女性(44)は昨年、父(当時72)と死別した。父は認知症が原因で、外出先から戻ってこられないことがたびたびあった。失跡前の最後の姿は2016年12月4日。デイサービスから、コートも着ずに出て行ったという。 女性が後日、警察から聞いたところによると、父はその直後、コンビニに立ち寄ったという。携帯電話の代わりにテレビのリモコンを手にしていたという。店員に名前を告げ、「家を探しています。電話番号は分からない」と言った。ところが、ちょうどレジが混み始め、店員が接客する間に店を出て行ったという。 女性は警察に捜索願を出し、ラジオや折り込みチラシも使って行方を捜したが、父は17年1月7日、
愛知県大府市は13日、認知症の高齢者が第三者にけがをさせたり物を壊したりして家族が損害賠償を求められる場合に備え、市が保険料を全額負担して個人賠償責任保険に加入すると発表した。事業費20万円を新年度予算案に盛り込む。市によると、自治体が公費で同種の保険契約をするのは神奈川県大和市に次いで全国2例目という。 大府市内では2007年、認知症の男性(当時91歳)が東海道線の列車にはねられ死亡した事故で、家族がJR東海から列車の遅れに伴う損害約720万円の賠償を求める訴えを起こされた。最高裁がJR東海の請求を棄却したが、賠償の是非が社会問題になった。市は事故をきっかけに昨年12月、「認知症に対する不安のないまちづくり推進条例」を制定した。
県は認知症の人の思いや情報を家族や支援者間で共有するための「まほろば生き生き安心ノート」を作成、配布を始めた。連絡先や薬の内容などに加え、認知症患者本人がやりたいことや、重症化したときに望む治療などを書き込めるのが特徴で、「本人目線」の支援につながることが期待される。 ノートは認知症の診断を受け、病気であることを本人と家族がともに受け入れている患者が配布対象。住所や連絡先、持病や飲んでいる薬について、家族や医師、ケアマネジャーらがそれぞれ書き込むページを用意。病院や介護サービス事業所を利用する際にノートを提示することで、支援者間で正しい情報共有が可能になる。 ノートのひな型は昨年、国立長寿医療研究センター(愛知県)が作成し、全国での利用を推進。県でも導入が決まったが、ひな型は「医療や介護関係者間の情報共有が中心で、支援者目線の部分が多かった」(県担当者)という。そこで、県では患者本人の意思
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「恍惚(こうこつ)の人」から「希望の人びと」へ:1(マンスリーコラム) 「認知症」「アルツハイマー」。この言葉を聞いて、あなたはどんなことを思いますか? 今年4月、国際アルツハイマー病協会国際会議(認知症の国際会議)が京都市で開かれ、65カ国・地域から4千人以上、認知症の本人も約200人が参加した。 オープニングに登壇した丹野智文さん(43)が語った。 「ここで私が話をしようと思った理由は、認知症になったら(人生は)終わりではない。全国にいるまだまだ不安のある当事者へ、認知症でも笑顔で元気で楽しく過ごせることを知ってもらいたかったからです」 丹野さんは、39歳でアルツハイマー型認知症と診断された元トップ営業マンで、いまも仙台市で事務職として働きながら講演活動を続けている。 こうして人前で話すと「特別な人」と思われがちだが、丹野さんは診断後、「認知症=終わり」だと思い、不安や恐怖から、夜は泣
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