ミックスト・リアリティー(複合現実、MR)と呼ばれる技術を使い、認知機能を改善させる新たなリハビリ法を、関西医科大などの研究チームが開発した。認知症の予防などに役立つ可能性があるという。大阪府枚方市の同大で12日、実演された。 MRは、VR(仮想現実)の技術を進めたもので、現実の空間に3D映像を組み合わせる。マイクロソフト社のゴーグル状の装置を使い、大阪市のIT企業テクリコと共同で、検証中のものも含めて、6種類のシステムをつくった。 その一つが、ゴーグル越しに浮かぶように見える数字を、小さい方から順番に選ぶという課題。首を振りながら、視界の中央にあるカーソルを目当ての数字に合わせ、手元のボタンを押す。正解すると数字が消える仕組みだ。実際に歩いて、途中で現れる花のうち、指定された色だけを選ぶような、身体運動と組み合わせた課題もある。 認知トレーニングと呼ばれるリハビリの一つ。現在はドリル問題
『Gran Age(グランエイジ) プロジェクト』の推進 日本生命は「Amazon Alexa」(クラウドベースの音声認識サービス)に対応した認知症対策スキル「ニッセイ脳トレ」の提供を、3月20日から開始します。この取り組みは、シニア向け商品・サービスの拡充「Gran Ageプロジェクト」の一環となっています。また、このような音声による認知症対策スキルとしては、国内生保業界としては初めてAlexaに対応したものです。 Amazon AlexaはAmazon社が開発したAIアシスタントで、Amazon Echoなどの音声認識スピーカー等に搭載されています。「音楽をかけて」と話しかければ「おすすめのプレイリストを再生します」と音声で応答し、音楽をかけてくれるといったものです。認知症予防には、日常的な脳への刺激や生活習慣の改善が有効とも言われており、このようなAIテクノロジーの活用に期待がかかり
「オンライン診療は、長期のコントロールが必要で、通院が困難だという人にメリットがある」と話す黒木院長=千葉県いすみ市の外房こどもクリニック 糖尿病など慢性疾患対象 パソコンやスマートフォンなどを使って、医師の診察を受ける「オンライン診療」に4月から、健康保険が適用される。慢性疾患などで継続的な治療を受けており、状態が安定している患者などが対象。「対面」が当たり前だった診察の風景が、そろりと変わりそうだ。(佐藤好美) 病院や診療所などが、治療や薬の処方の対価として受け取る「診療報酬」に今年4月から、「オンライン診療料」(月に700円・患者負担は1〜3割)と「オンライン医学管理料」(月に1千円・同)などが新設される。 原則はあくまでも対面診療で、オンライン診療は補完的な位置づけ。このため、初診の患者は対象外で、3カ月に1回以上は対面診療を組み合わせることが要件。 保険適用の第一歩とあって、対象
国立長寿医療研究センターと島津製作所などの研究グループは、微量の血液からアルツハイマー病の発症に影響するとされるタンパク質などを計測し、アルツハイマーにつながる病変の有無を早期に高精度で判定できる技術を開発した。31日付のネイチャーオンラインに発表した。血液からの検出法の確立は世界初で、アルツハイマー病の鑑別や治療薬開発などに役立つと期待される。 アルツハイマー病は、発症する20〜30年前から脳内に異常タンパク「アミロイドベータ」がたまり始めることが知られている。蓄積の有無を確かめるには、脳脊髄液を採取するか、高額な検査を受ける必要がある。 グループは、アルツハイマーの原因物質とされるアミロイドが脳にたまり始めると血液中に流れ出なくなり、血中に流れるその他2種類のアミロイドとの量に差が出ることに着目。この比率を計測し、脳内蓄積の有無を判定する検出法を編み出した。結果を検査で確認すると、アミ
東北大学は、2017年4月1日付けで、認知症の超早期二次予防、一次予防の確立を目指す、世界初の研究組織「スマート・エイジング学際重点研究センター」を創設する。 日本は先進国中、最も高齢化の進んだ超高齢社会(高齢化率27.3%、2016年9月現在)で、認知症人口は認知症予備軍を含め現時点で800万人以上と推計されている。認知症による経済的損失は、医療費・介護費など年間14.5兆円に上ると試算され、認知症予防対策の社会的ニーズは極めて大きいとされている。このような超高齢社会では、「スマート・エイジング=一人ひとりが、時間の経過とともに、高齢期になっても健康で人間として成長し続け、より賢くなれること、社会全体としてより賢明で持続可能な構造に進化すること」が求められ、その実現に向けた研究推進が必要とされている。 そこで、東北大学では、国内外の研究者と連携し、世界初のスマート・エイジング実現に挑戦す
補聴器では十分に会話が聞き取れないなど重度の難聴者を支えるのが「人工内耳(ないじ)」。性能の向上や治療法の進展で、1歳から高齢者まで幅広く使われるようになった。聴力の回復でコミュニケーションが取れるようになると、認知症予防にも役立つという。超高齢化社会に向けても普及が期待される。(坂口至徳) 人工内耳は、耳の奥の内耳に障害がある難聴者の「聞こえ」を補助する装置。内耳にある「蝸牛(かぎゅう)」は、外部から鼓膜などを経て伝わる音声の振動を電気信号に変換する役割があり、その信号が脳神経に伝わることで音として認識される。人工内耳は蝸牛の機能を補強し、国内では昭和60年から導入が始まり、これまでに約1万人が手術を受けた。 ただし、補聴器と比べてなじみの薄い人工内耳。京都市内で1月、現状や課題をテーマにした公開講座が開かれ、京都大医学部付属病院耳鼻咽喉科・頭頸部外科の山本典生講師が「生まれつきの難聴者
人工知能(AI)を使ってがんや認知症などの治療データを大規模に解析し、患者ごとに最適な医療を提供するための実証実験を理化学研究所が4月に開始することが分かった。医療機関や製薬企業と連携して治療や創薬などを総合的に進める国内初の試みで、平成32年の実用化を目指す。 実験は東京大や大阪大、慶応大の各病院など全国20〜30の医療機関と、製薬やヘルスケア分野の約10社が参加。病気はほかに鬱病、発達障害、統合失調症、アトピー性皮膚炎、自己免疫疾患、関節炎などを当面の対象とする。 医療機関が蓄積してきた数万人規模の治療データのほか、数百人の患者に小型センサーを装着し日常の運動や心拍、睡眠などを計測。これらの膨大なビッグデータを理研が新たに開発したAIで解析し、一人一人の患者に最適な投薬や検査、介護法を見つけ出す。 理研のAIは自ら学んで理解を深める「深層学習」という機能に加え、複雑な解析を高い精度で高
自分が今どこにいるか分からない。いないはずの人が立っているように見える――。こうした認知症の人の症状を体験できるバーチャルリアリティー(VR、仮想現実)の映像を、千葉県浦安市の会社が作って体験会を開いている。認知症の人への理解を深めてもらいたいとの願いからで、社員研修に採り入れる会社も出てきた。 社会のまなざし変えたい 「わぁー」。VRの映像を映すゴーグル型機器とヘッドホンをつけた若者たちが、板でつくった段から下りようとした瞬間、悲鳴を上げた。映し出されていたのは、3階建ての建物の屋上から落とされそうになる場面。落ちたと思った瞬間、ワゴン車の後部座席から降りた場面に変わった。 10月末、千葉県船橋市のサービス付き高齢者向け住宅「銀木犀(ぎんもくせい)」であったVR体験会に、慶応大商学部のゼミ生12人が参加した。体験会を開いたのは銀木犀を首都圏で展開する「シルバーウッド」。屋上の場面は、認知
奈良先端科学技術大学院大学の荒牧英治特任准教授らは、日々の生活で交わす会話から認知症の兆候を調べるソフトを開発した。認知症は発症すると治すのが難しいが、加齢による物忘れなどもあって症状が出る前の異変に気付きにくい。スマートフォン(スマホ)や家庭用ロボット、家電のマイクを通じて音声を解析し、なるべく早く医師の診療を促す。2年以内にも実用化し、予防や早期の治療につなげる。認知症は高齢者を中心に全国
日本郵政グループの日本郵便とかんぽ生命が中心となって高齢者の生活支援サービスの新会社が設立されることになったそうだ。創業メンバーは他には日本IBM、NTTドコモ、セコム、綜合警備保障、第一生命、電通の名前が挙がっている。 生活者の高齢化が進む中、買い物難民や孤立する高齢者が問題になっているが、新会社の新サービスはこのニーズにどう対応していくのだろうか? 8社共同で高齢者支援の新会社を設立 日本郵便が中心となる新会社のサービスでは、郵便局員が高齢者の家を月1回訪問し、30分ほど会話しながら健康状態や生活の状況を確認してくれるそうだ。日本IBMが開発する高齢者向けに操作を簡単にしたタブレット端末で地域のスーパーや商店街で商品を注文できるようにして、それも郵便局員が届けてくれることになる。 今後、団塊の世代の高齢化が進む。現在75歳以上の高齢者人口は1600万人ほどだが、これが2030年には23
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