知的障害のある人の歯科治療には、施術中のけがを防ぐため全身麻酔を用いることがある。これまでは設備が整った大病院に限られていたが、栃木県内でも取り組む歯科医が徐々に増えてきた。ただ数はまだ少なく、望むような治療を受けられない障害者が多いのも現状だ。 さくら市の民間歯科医療施設「スペシャルニーズセンター」(SNC)は2016年から、知的障害者を対象にした全身麻酔による歯科治療を行っている。 手術台に横たわる9歳の女児に、麻酔医が「怖くないよ。ママもいるからね」と優しく呼びかけた。吸入マスクを口元にあてがうと、呼吸が静かに。麻酔が効いたことを確かめると、センター長の菊地公治さん(41)が歯の治療を始めた。手術は1~2時間前後。2時間ほど休めば、即日帰宅できる。 菊地さんは自治医科大病院などで知的障害者の歯科治療に携わってきた。患者の中には、治療中に体を動かしてけがをする危険があるため、全身麻酔に
「優生手術」と呼んで知的障害者や精神障害者らへの強制不妊手術を認めた旧優生保護法(1948~96年)の下、東京都立病院が、精神疾患と診断された20代女性について結婚を理由に優生手術が必要と都に申請していたことが、同病院の元勤務医が保有していた資料で明らかになった。この精神科医は、自らも優生手術に関わったことを認めた上で「審査過程はずさんなケースも少なくなかったと考えられる」と振り返った。優生手術の実態を当事者の医師が明らかにするのは異例。【遠藤大志】 資料を保有していたのは岡田靖雄医師(86)=東京都杉並区。「法律は差別的だった」と認め、「自分が手を貸した事実は隠さない」と実名で取材に応じた理由を語った。
障害者や遺伝性疾患を持つ人の不妊手術や中絶を認めていた旧優生保護法を巡り、宮城県在住の知的障害を持つ60代女性が強制的不妊手術を受けたことを示す記録が、情報開示請求で見つかった。障害者の不妊手術の証言が公的文書で裏付けられるのは初めて。26日に同県内で記者会見した女性の義理の姉は「手術で多くの人の心身が傷ついた。これ以上、障害者がおろそかにされることがあってはならない」と訴えた。 1948年に制定された旧優生保護法は「不良な子孫の出生を防止する」として、一部の遺伝性の病気や精神障害の人に強制的な不妊手術を認めており、約1万6500人が対象になった。同意を得た上での不妊手術・中絶を含めると、約8万4000件が実施されたとされる。96年に優生思想に関連する規定が削除され、母体保護法に改定された。
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障害が比較的重い子どもが通う「特別支援学校」で深刻な教室不足が続き、2016年10月現在、3430教室が足りないことが文部科学省の調べでわかった。特別支援学校の在籍者が近年急増し、教室数が追いついていない。同省は教育に支障が出るおそれがあるとして、教育委員会に補助金の活用などによる教室不足の解消を求めている。 特別支援学校小、中学部の1学級は6人が上限で、重複障害の場合は3人。幼稚部から高等部までの在籍者は15年に13万8千人で、10年で1・36倍になった。特に知的障害のある子が増え、全体の9割を占める。比較的障害が軽い子が通う小中学校の特別支援学級の在籍者も15年に20万1千人で、10年で約2倍になった。 背景には、障害の診断が普及したことがある。障害があると診断されると、支援が得やすい教育を望む保護者が増えたとみられ、「特別支援教育への理解が深まった」(文科省担当者)との見方がある。
知的障害のある40代の男性が、治療の必要がないのに医療観察法に基づき約2カ月間の入院を強いられたとして、国に330万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴した。13日付。男性側は「無意味な拘束で社会復帰を妨げられた。障害者への差別的な扱いだ」と訴えている。 医療観察法は、殺人や強盗など重大な刑事事件を起こした人が、責任能力がないとして不起訴処分などになった場合、検察官の申し立てで裁判所と精神科医が入院や通院の必要性を判断する仕組みを定めている。 訴状などによると、男性は通りすがりの女性を転倒させたとして傷害容疑で警視庁に書類送検されたが、東京地検立川支部は2013年12月、責任能力がないとして不起訴にした。同支部は同法に基づき医療的な措置を申し立て、東京地裁立川支部が鑑定入院を命じた。だが翌年2月に地裁支部は「治療の必要性がない」として男性を退院させた。 男性側は、男性は事件前から知的障害や発
知的障害のある子供の約1割に、統合失調症の治療薬である抗精神病薬が処方されていることが、医療経済研究機構(東京)などの研究チームによる調査で分かった。このうちほぼ半数には年300日以上と長期にわたり薬が出ていた。知的障害には、自傷行為や暴力などの行動障害を伴う場合があり、薬はその治療のためとみられるが、長期の使用には副作用のリスクもある。世界精神医学会は精神疾患が原因でない行動障害には、個々
統合失調症などの治療薬、「抗精神病薬」を使っている知的障害のある子どものうち、およそ半数が300日以上の長期にわたって処方されていることが財団法人の調査でわかりました。「抗精神病薬」は長期間の服用で、体重の増加や糖尿病などの副作用が出るおそれがあり、専門家は、適切な処方を促すべきだと指摘しています。 対象は知的障害がある3歳から17歳までのおよそ2000人で、調査の結果、全体のおよそ13%に抗精神病薬が処方され、15歳から17歳では27%に上るなど年齢が上がるほどその割合は高くなっていました。 さらに、処方期間は全体のほぼ半数で300日以上の長期にわたっていたということです。 抗精神病薬は統合失調症などの治療薬で使用され、長期間の服用により、体重の増加や糖尿病などの副作用が出るおそれがあります。 子どもの精神医療に詳しい横浜市立大学病院の藤田純一医師は、「知的障害のある子どもの一部は自分を
過剰投与、副作用の危険 主に統合失調症の治療に使われる抗精神病薬が知的障害児の約1割に処方されていることが、医療経済研究機構などのチームが健康保険組合加入者162万人を対象に行った調査で分かった。人口に対する統合失調症患者の割合よりはるかに高く、うちほぼ半数で年300日分以上も薬が出ていた。チームは「大半は精神疾患がないケースとみられ、知的障害児の自傷行為や物を破壊するなどの行動を抑制するためだけに処方されている可能性が高い」と警鐘を鳴らす。 チームは、健康保険組合の加入者162万人の診療報酬明細書(レセプト)のデータベースを使い、2012年4月~13年3月に知的障害と診断された患者2035人(3~17歳)を1年間追跡調査。その結果、抗精神病薬を期間内に1回でも使った人は12.5%いた。年齢別では、3~5歳が3.7%▽6~11歳が11%▽12~14歳が19.5%▽15~17歳が27%--と
発達障害の子供の育児に悩む親が増えていることを受け、県は25日、県内初の「児童心理治療施設」と特別支援学校を含む新拠点を平成31年度、甲府市住吉に設けると発表した。28年度12月補正予算案に基本設計費など約1億1700万円を計上する。 新拠点は、後藤斎知事が同日に発表した「子どもの心のケアにかかわる総合拠点整備基本構想」の中心的な施設となる。 県は現在、県福祉プラザ(甲府市北新)内の発達障害などの相談・診療施設「こころの発達総合支援センター」と、児童虐待などを扱う「中央児童相談所」で対応している。 これらを新拠点に移転し、同センターの常勤医師(2人)の倍増など機能を拡充する。現在は非常勤4人を含め、医師6人で対応しているが、相談、診察ともに約3カ月待ちの状況という。 このほか、相談室を5室から10室へ増設し、血液・尿検査室を新設する。 一方、発達障害や虐待を受けた小中学生などの治療を行う新
特別支援学校・学級に通う子どもが全国で急増し、九州7県でもここ10年で1・7~2・3倍に増え、2016年には軒並み過去最多に上ったことが分かった。知的障害や発達障害の子どもの増加が目立ち、主にこうした障害の認知が広がり社会的な偏見が薄らいだことで、地域の学校ではなく支援校・学級を選ぶ家庭が増えたとみられる。各県教育委員会は支援校の増設など対応を急いでいる。 文部科学省の学校基本調査(5月1日時点)や各県教委によると、06年と16年を比較して支援校・学級に通う児童生徒数の伸びが最も大きかったのは熊本の2・27倍。次いで佐賀2・20倍、福岡が1・98倍-だった。16年の人数は最多の福岡が1万4734人、熊本6226人、鹿児島5446人-と続き、いずれも過去最高だった(佐賀はデータの残る06年以降)。 福岡は約7割が知的障害の子どもで、ここ10年で約4500人増えた。県教委は「支援校は遠方に
平成28年7月15日 【照会先】 年金局事業管理課給付事業室 室長 重永 将志 (内線 3660) 室長補佐 尾山 将 (内線 3593) (直通電話) 03(3595)2796 日本年金機構年金給付部 部長 田中 謙一 (直通電話) 03(6892)0768 日本年金機構経営企画部広報室 (直通電話) 03(5344)1110 障害基礎年金や障害厚生年金等の障害等級は、「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」に基づいて認定されていますが、精神障害及び知的障害の認定において、地域によりその傾向に違いが生じていることが確認されました。 こうしたことを踏まえ、精神障害及び知的障害の認定が当該障害認定基準に基づいて適正に行われ、地域差による不公平が生じないようにするため、厚生労働省に設置した「精神・知的障害に係る障害年金の認定の地域差に関する専門家検討会」において、等級判定の標準的な考え方を
抗精神病薬の使われ方について話し合った 過剰投薬にノーを-。児童らに対する抗精神病薬の処方が問題になっているが、5月4・5両日、都内で「発達障害〝ビジネス〟から子どもたちを守ろう」の集いが開かれた。親子連れや都議、区議ら200人以上が参加した。 主催したのは「市民の人権擁護の会日本支部」(東京)。集団行動の不適応などを理由に「発達障害」とされる子が近年多く、それに伴い子どもへの抗精神病薬処方件数も増えてきた。また、幼児まで飲んだり、適用外処方(健康保険で定めた効能・用法・用量の範囲外で使うこと)も目立つようになった。その被害実態について同支部のスタッフが報告。 さらに、NPO法人「食品と暮らしの安全基金」(埼玉県)のメンバーは、服薬前にできることがあるとして、「ミネラル摂取など食事の改善で症状は落ち着く」と断薬・減薬へつながったケースを紹介した。 肢体不自由・知的障害を伴うコステロ症候群
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知的障害者に対して、精神的な病気ではないにもかかわらず、精神的な病気の薬が使われている可能性があるのかもしれない。 データベースを解析 ロンドン大学の研究グループが、有力医学誌であるBMJ誌に2015年9月に報告したもの。 研究グループは、統合失調症や双極性障害などの精神の病気に使う薬が、知的障害を持つ人に不必要に使われている実態に注目。その詳細を調査している。 研究グループは、英国のデータベースに基づいて、571カ所の英国の一般診療科の情報を抽出。3万3016人の知的障害の記録のある人について薬の使用を調べた。 研究登録時の平均年齢は36歳。平均の追跡機関は5年半であった。 70%以上が不適切な使用 研究の終わりまでに精神的な病気の薬を使っていたのは9135人で、7割は重い精神的な病気の記録がなかった。 問題行動の記録のあった1万1915人に注目すると、精神的な病気の薬を使われて
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