大阪市内に住む40代の今井陽子さん=仮名=は一枚の手紙を見ると今でも胸が締め付けられる。高校1年になる長女(16)が小学4年のときに書いた手紙だ。 「ママへ」で始まる、その手紙には、手袋を紛失したことをわびる内容がびっしりと記されている。当時、今井さんは、娘に虐待を加えて何かの度に激しく叱責していた。 手をあげる際、娘はビクッとするしぐさを見せ、背を向けることがあったが、止めることはできず、その小さな背中を蹴り上げることもあったという。 《バカなのでうまれてこないほうがよかったのかなぁって思っています》 ここまで娘を追い詰めていたのだと思うと心が痛む。 だが、この手紙をもらった後も、娘への虐待はなかなか止めることはできなかった。新聞で目にした子育てサロンに参加し、すべてを打ち明けることで、心の荷が下り、以降は一切手を出していないが、虐待は小学5年の終わりまで続いた。 大阪では、堺の3歳児遺
相次ぐ児童虐待を受け、大阪府警は来年4月に、都道府県のわくを超えて所在不明の子どもを追跡し、安否を確かめる専門部署「児童虐待対策室」を設ける方針を決めた。捜査関係者が明らかにした。トップに警視の専属所属長を据える。警察庁は都道府県警のこうした部署を「ほかに把握していない」としており、全国初とみられる。児童相談所(児相)や自治体と連携し、事件を未然に防ぐ。 対策室は生活安全部少年課に設置。計15人程度の組織となる見通しだ。大阪府内では11月、行政側が3年前から所在を確認できていなかった梶本樹李(たつき)ちゃん(死亡当時3)=堺市北区に住民票=の遺体が山中で発見される事件が起きた。府警が死体遺棄などの疑いで逮捕した父母は様々な理由で、樹李ちゃんの健康診断の受診を拒んでいた。 これまでは健康診断を受けずに転居するなど、理由がわからないまま子の所在が長期間確認できない場合、多くは転居先の警察に情報
再犯防止対策に力を入れている法務省が、矯正施設である刑務所・少年院に収容されている受刑者らの職歴や資格、出所時期や帰住予定地などの情報を一括管理する矯正就労支援情報センター室(通称・コレワーク)をさいたま市と大阪市に開設した。雇用条件にあった受刑者らのいる刑務所・少年院を企業などに紹介することで、出所後のすみやかな就労に結びつける狙いがある。【鈴木一生】 コレワークは、全国の刑務所・少年院にいる就職希望者のデータベースを整備。職業安定法上、直接仕事の紹介はできないため、雇用を検討する企業がコレワークに雇用条件に合う人材の有無を問い合わせ、コレワークが条件に合う受刑者らがどの施設にいるかを回答する仕組みだ。
子どもが亡くなるなど重大な児童虐待について、自治体がまとめた報告書をNHKが分析したところ、児童相談所などが事前に虐待の兆候を把握していたケースが全体の7割に上ることがわかりました。中には、一度逮捕されたものの検察が不起訴にしたあとに虐待が繰り返されたケースもあり、専門家は児童相談所や警察と検察の連携を強化する必要があると指摘しています。 平成20年度以降に自治体が公表するなどした報告書165件をNHKが分析した結果、児童相談所や保健所などが事前に通告や相談を受けるなどして虐待の兆候を把握していたケースが117件と、全体の70%に上ることがわかりました。 さらに、このうち平成25年に和歌山県で当時、2歳だった男の子が父親から暴行を受けて死亡した事件など4件は、虐待の疑いがあるとして逮捕されるなどしたものの、検察が不起訴にしたあとに虐待が繰り返されたと見られています。これらの報告書には「虐待
子どもが虐待で亡くなる事件が後を絶ちません。兆候があっても児童相談所や自治体が十分に対応できなかったり、行政と保育施設、病院などの連携が不十分だったりして防げなかったケースも少なくありません。虐待から子どもを守るための社会の仕組みについて考えます。 「救えなかった」無念今も 子どもの命をみつめる企画「小さないのち」。児童虐待の実態を伝えた一連のシリーズに、ある政令指定市で虐待対応を担当している職員からも匿名で声が寄せられました。 この職員は、かつて担当した子が虐待で命を落としました。ネグレクト(育児放棄)状態だったため、児童相談所(児相)に「危ない」と伝えていましたが、結局、一時保護されないまま、親からの暴力で亡くなりました。「救えなかったという気持ちは今も残っている。たぶんずっと乗り越えられない」と、無念の思いを記者に語りました。 重大な虐待事件が起きると、自治体は第三者の検証委員による
子供を大人の偏った性的欲望から守り、被害に遭った人たちを官民挙げて総合的に支援する「県子どもを性被害から守るための条例」は11月1日、淫行や深夜の連れ出しに対する処罰規定が発効し、条例成立4カ月にして完全施行される。全国でしんがりとなった淫行処罰規定は、悪意を持って子供に近づく大人を牽制(けんせい)する大きな盾になる。県次世代サポート課は「適切な運用に努め、子供たちの明るい未来を切り開きたい」と話している。 ■ ■ 条例の処罰規定は、「魂の殺人」ともいわれる性犯罪から子供たちを守るため、威迫などによる性行為に対して2年以下の懲役または100万円以下の罰金、保護者の同意などの正当な理由がない子供の深夜の連れ出しに30万円以下の罰金を科す内容だ。 この規定に対しては、長年にわたり県民運動だけで青少年健全育成の取り組みを進めてきたことへのこだわりから反発する声も強かった。真摯(しんし)な恋愛へ
堺市北区に住民票がある梶本樹李(たつき)ちゃん(4)が所在不明となり、両親が児童手当を詐取したとして逮捕された事件で、一家が以前住んでいた大阪府松原市が、樹李ちゃんの妹への虐待疑惑で一家を定期訪問の対象としながら、部門間で情報を共有していなかったことが27日、分かった。このため、樹李ちゃんが3歳児健診を未受診のまま一家が堺市へ転居したのに異常に気付けず、3カ月も対応せずに放置していた。 松原市によると、父親の卓(35)と母親の千穂(32)の両容疑者は、同市に住んでいた25年12月、当時1歳11カ月の樹李ちゃんを施設から引き取った。その後に生まれた次女が昨年2月、太ももをやけどして医療機関を受診。市の虐待部門の担当者は虐待などの恐れもあるとして、翌3月に一家を定期訪問の対象にした。自宅を3回訪問したが、樹李ちゃんの姿を確認できなかった。 一方、市の健診部門の担当者は同7月以降、虐待情報を知ら
「いじめ防止対策推進法」が施行された2013年9月以降、いじめと自殺の関係が問われた12件のうち少なくとも9件で、第三者委員会が、同法で求められている学校での情報共有が不十分だったと認定していたことがわかった。同法は28日で施行から3年が過ぎたが、3年で法の見直しを検討する規定がある。より情報共有を進める仕組みをどう作るかが、見直し論議の焦点になりそうだ。 同法は大津市の中2男子が11年に自殺した事件を機に自民、民主などが法案を共同提出し、13年9月28日に施行された。 文部科学省への取材などによると、法施行後、いじめによる自殺と疑われたケースは3年で少なくとも20件あり、小4から高3の20人が亡くなっている。 このうち、同法に基づく弁護士…
みんなに祝福されて生まれてくる子供ばかりではない。 父親がわからずに妊娠する少女、貧困や暴力がからんだ不慮の妊娠をする女性がいる。最も助けが必要なのに、周囲の人が気づかず、市区町村に妊娠届も出さないため、何も支援がないことが多い。 妊娠した女性の健康はもちろんだが、生まれてくる子も心配だ。 厚生労働省によると、無理心中以外の虐待で亡くなった18歳未満の子供は2003〜14年度で計626人。このうち半数近くが0歳児で、実の母親が加害者である場合がほとんどだ。妊娠期からフォローしていれば虐待の恐れが高いことがわかるケースが多いと見られている。 このため、厚労省は産科のある医療機関や助産所などに児童福祉司を配置し、「望まない妊娠」をした女性の支援を始める。貧困や家庭内暴力の被害にあった女性を支援するNPOや母子生活支援施設にも児童福祉司を常駐させる。来年度にモデル事業として計10自治体に委託する
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