弱視などの、視覚に障害がある子どもでも読みやすい教材をと、文字や図表を拡大した教科書を作っている。会の名前にある「エンラジスター」は「~を大きくする」という意味の英単語に由来する。 会が作った拡大教科書を見ると、通常の教科書で半ページほどの図表が、見開きで展開されていた。「薄い色の文字が分からない」「行間が詰まっていると読みにくい」など、何が見えにくいのかは人によって異なる。本人や学校の先生と相談を重ねて、単に字を大きくするだけではなく、文字や線の色使い、レイアウトにも気を配る。 2006年、山口県下松市に誕生した。これまでに約40冊の教科書の拡大を手がけてきた。文部科学省から依頼を受け、教科書会社から送られてきたデータを元に作業に取りかかる。1冊の教科書の編集には5カ月ほどかかるといい、8人の会員で手分けして作業を進める。 「先生の中にも『拡大教科書…
小諸市のスポーツ用品メーカー「キザキ」が、視覚障害のある子どものための白杖(はくじょう)を開発した。これまでは大人用を切って使うことが多く、子ども専用は全国初という。長野と松本の盲学校の生徒たちに使ってもらい、改良を加えて来春の実用化を目指す。 同社はスキーストックなどを製造。3年前、木崎秀臣社長が「子ども向けの白杖がない」と聞いたのがきっかけだ。「スキー用のストックには子ども向けがあるのに、なぜ」と不思議に思い、子ども用の白杖の開発に乗り出した。 軽くて丈夫な白杖を目指し、特に握る部分にこだわった。従来の白杖は多くが、ゴルフのパター用グリップの部品を流用しているが、3Dプリンターを使って1年半の間、試作を繰り返し、持ちやすい新しいデザインにした。成長に合わせて長さを調節できるようにも工夫した。 Sサイズ(80~105セン…
「フィリピンで暮らす視覚障がい者の学習環境を改善したい」。この思いから、クラウドファンディング(不特定多数の人から資金を集めること)プロジェクトを立ち上げたNPO職員がいる。認定NPO 法人フリー・ザ・チルドレンの石田由香理さん(27)だ。石田さんは1歳3カ月のときに網膜芽細胞腫(眼球の中に発生する悪性腫瘍)で両眼を摘出し、全盲になった。 ■全盲になったら家族に捨てられた フィリピンの小学校入学率は96%だが、視覚障がい者に限ると95%は学校に通った経験すらないという。高校まで進む人は1%以下だ。「それどころか、地方になると、視覚障がい者の40%近くが障がいをもっていると分かった時点で家族から捨てられ、教会で育っている。障がい者は何もできないから教育を受けても仕方がない、とフィリピンでは思われている」と石田さんは話す。 石田さんは国際基督教大学(ICU)の学生だった2010年3月、フリー・
くりぬいた板の教材や発声訓練用の模型などを見る岡本明・筑波技術大名誉教授(左)と菊島良治・山梨県立盲学校校長=甲府市下飯田2の同校で2016年10月、後藤豪撮影 目と耳の両方が不自由な盲ろう児の教育を1950~60年代に、国内で初めて系統的に実践した山梨県立盲学校(甲府市)で、当時の資料のデータベース化が進められている。教材・教具、授業記録のほか、寮での生活記録などが詳細に残り、現在の盲ろう児教育の基礎となった先進的な取り組みの様子が分かる。劣化が進んでおり、関係者は「貴重な記録を後世に残したい」と話している。【後藤豪】 「はに わたを いれて きれいに する」「ぴんせっとを はえ(へ) いれる」
式典で挨拶する宍戸理事長独立行政法人国立特別支援教育総合研究所は、免許状保有率が低い視覚障害・聴覚障害の教育領域で、インターネットを利用した免許法認定通信教育を10月に開講した。それに伴い、10月19日、神奈川県横須賀市にある同研究所で、免許法認定通信教育開講記念式典を開催。特別支援学校教員についての政策動向や免許法認定通信教育事業の概要が説明された。義家弘介文科副大臣はビデオメッセージで、同通信教育への期待を述べ、特別支援教育に力を入れ続けていく意向を示した。 同研究所の宍戸和成理事長は「特別支援学校教諭の免許状取得率向上を図ることで、特別支援教育の充実にも寄与できると思っている」と述べた。 文科省が平成28年8月に公表した「平成27年度特別支援学校教員の特別支援学校教諭等免許状保有状況等調査の結果について」によると、昨年5月1日現在、特別支援学校教員(6万5559 人)のうち、当該障害
モリサワは20日、グループ企業のタイプバンクが開発して販売する、ICT教育の現場に効果的なユニバーサルデザイン書体「UDデジタル教科書体」を発表した。 「UDデジタル教科書体」は学習指導要領に準拠し、書き方の方向や点・ハライの形状を保ちながらも、太さの強弱を抑え、ロービジョン(弱視)、ディスレクシア(読み書き障害)に配慮したデザイン。また、今年度から施行された障害者差別解消法の理念に基づき設計されている。 発表会で登壇したタイプバンクの高田裕美氏は、開発の背景とデザインコンセプトについて、「弱視の子どもたちにとって“明朝体”や“教科書体”は太さに変化があって見づらい。見やすいのは“ゴシック体”だが、もともと印刷用のフォントのため正確でないところがある。“UDデジタル教科書体”は、教育現場に相応しい教科書体の良さを活かし、線の太さを一定にて、電子黒板などでの利用時に遠くからでも見やすいデザイ
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