『貧困の戦後史 ─貧困の「かたち」はどう変わったのか』(岩田正美/筑摩書房) 現代日本において、行政やメディアなどさまざまなレベルで議論をよんでいるトピックのひとつが“貧困”だろう。近年をざっとふりかえっても、ネットカフェ難民、高齢者の貧困、女性の貧困、子どもの貧困など“貧困”にまつわる数多くのキーワードが注目されてきた。『貧困の戦後史 ─貧困の「かたち」はどう変わったのか』(岩田正美/筑摩書房)は、戦後から現在にいたるまでの、日本の貧困史をまとめあげた一冊だ。 本書の特色は、時代ごとに貧困の「かたち」がどう変容したかを丹念に描いている点だ。貧困というと一般的に、所得や消費、失業など一貫した指標を用い、その増減を経時的に測るものというイメージがあるかもしれない。しかし著者は、所得や消費の多寡、職の有無だけではとらえきれない貧困が存在するという。 たとえば終戦直後、貧困は“食べるものがない”
裁判の傍聴や、高齢者の孤独死の取材を通し、性差を感じることがある。たとえば、孤独死する人は、妻に捨てられたり、先立たれた男性がほとんどだ。また、窃盗など刑事裁判の被告人には、以前はバリバリ稼いでいたものの身体を壊したり、徐々に仕事がなくなるなどして、ホームレスになったような男性も珍しくない。 しかし、福祉と結びついても、うまく機能しないこともあるようだ。NPOほっとプラス代表理事である藤田孝典さんが3月に上梓した「貧困クライシス 国民総『最底辺』社会」(毎日新聞出版)では、高齢男性が生活保護と結びついたのちに、自殺してしまった事例も書かれる。こうした男性の生きづらさはなぜ生まれるのか。解決策は何か、藤田さんに聞いた。(ライター・高橋ユキ) (インタビューの前編「犯罪繰り返す高齢者、失業者が陥る貧困『負のスパイラル』 藤田孝典さんに聞く〈上〉」はこちら https://www.bengo4.
17歳以下のおよそ6人に1人が貧困の状況にあり、その割合は増え続けているという。このまま放置すれば、大きな経済的損失を日本にもたらすとする報告書が発表された。貧困状態に置かれ、孤立しがちな子どもたちへの支援は、人道的な理由からだけでなく、将来の国の経済や財政にとっても不可欠だ。子どもの貧困を研究する湯澤教授に寄稿してもらった。 2016年の新しい年を迎えた。子どもたちにとっては、クリスマス会、大晦日(みそか)、お正月などイベント続きの冬休みを過ごす時期である。しかし、「おめでとう」の言葉が行きかうこの時期に、しんどい思いをする子どもたちがいる。 「何年もクリスマスケーキを食べたことがない」「お年玉はない」「友だちと遊びに行く交通費もない」「家の中は十分な暖房がない」。そのような子どもたちのなかには、いつもお腹(なか)をすかせている子どもも少なくない。 これは、現代の日本の話である。 むろん
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