状況に応じて障害者を柔軟に支援することで、障害者*1の権利確保に主眼を置く障害者差別解消法が2016年4月に施行されて2年が過ぎた。この法律は障害者の特性や個別事情に応じた「合理的配慮」の提供を行政機関に義務付けているが、「合理的配慮として、どういった支援を提供するか」という点については、障害者と行政機関など当事者同士の「対話→調整→合意のプロセス」に委ねられている分、分かりにくいのも事実である。 本レポートでは、合理的配慮を中心に障害者差別解消法の内容を解説するとともに、自治体の動向やメディアの報道ぶりなどを基に、2年間の動きを考察する。その上で、国に今後、求められる対応として、支援の事例や工夫に関する情報を収集・共有する重要性を指摘する。 最初に重要になるのは「社会的障壁」という言葉である。法律は「障害者」を「身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害があ
厚生労働省の全国在宅医療会議は25日に開いた会合で、日本医師会や病院団体、関係学会などが「病院と在宅医療との協働体制の構築」などについて認識を共有し、在宅医療の普及への取り組みを進める方向性を固めた。各団体が取り組みやその成果に関する評価を毎年1回程度、同会議に報告する見通しだ。【松村秀士】 同会議は、在宅医療の提供者と学術関係者らが連携して在宅医療を進めるための認識を共有する目的で2016年7月に設置された。これまでに、在宅医療に関する「医療連携モデル、普及啓発モデルの構築」「在宅医療に関するエビデンスの...
■要旨 状況に応じて障害者を柔軟に支援することで、障害者の権利確保に主眼を置く障害者差別解消法が2016年4月に施行されて2年が終わろうとしている。この法律は障害者の特性や個別事情に応じた「合理的配慮」の提供を行政機関に義務付けており、各行政機関では職員の適切な対応に必要なことを定める「対応要領」の策定などが進んだ。 しかし、障害者差別解消法は「対話→調整→合意のプロセス」を当事者の間で義務付けているだけであり、「合理的配慮として、どういった支援を提供するか」という点については、障害者と行政機関など当事者同士の調整に委ねられている分、分かりにくいのも事実である。実際、障害者差別解消法や合理的配慮の目的や意味が社会に浸透しているとは言えないだろう。 本レポートでは、合理的配慮を中心に障害者差別解消法の内容を詳しく解説するとともに、自治体の動向やメディアの報道ぶりなどを基に、2年間の動きを考察
「子どもには人権がある」。当然のように言われているが、私たち大人はどこまでそれを本当に理解し、実現できているだろうか。憲法学者、木村草太さんが、子どもたちが抱える問題と日々向き合う現場のアクティビストたちと共に2月8日、『子どもの人権をまもるために』(晶文社)を刊行した。家庭における虐待や貧困、学校における指導死…。漠然と守られていると思っていた「子どもの人権」が危機にさらされていることが語られる。 もちろん、憲法や法律、条例など子どもの人権を守るための枠組みは存在する。しかし、現場でそうした対応を行うことは「必ずしも簡単ではない」と木村さんは指摘する。たとえば、近年社会問題となっている組体操。高さ3、4mにも及ぶ人間タワーが作られ、年間5000人以上の子どもが負傷している上、過去には死者も出ているが、教育の名の下に断行される。大人が高さ2m以上で作業する際には、手すりや命綱安全ネットなど
放送文化の発展と向上に貢献した番組や個人、団体等に贈られる『第54回ギャラクシー賞』の贈賞式が6月1日、都内で開催され、ラジオ部門大賞に『荻上チキ・Session-22』(TBSラジオ)が選ばれた。番組パーソナリティの荻上チキは、昨年の『第53回ギャラクシー賞』でDJパーソナリティ賞を受賞しており、2年連続で晴れ舞台に立った。「大賞」受賞は初となる。 【写真】その他の写真を見る 受賞したのは、今年1月17日放送「薬物報道ガイドラインを作ろう!」。昨年、芸能人やスポーツ選手についての薬物報道は、偏見や誤解、興味を煽るような内容が少なくない現状を鑑みて、「日本の新しい民主主義のためのプラットフォーム」を標榜する同番組が、リスナーや専門家とともに「薬物報道ガイドライン案」を作成。今後の報道のあり方を考えた。 選奨事業委員会では「ひとつの番組から世の中を本気で変えようとする試みが、ラジオの新しい在
◆ARCHとは? ARCH(アーチ:Advocacy and Research Centre for Homelessness)はホームレス問題についてのアドボカシー(政策提言)と研究を行う市民団体です。2020東京オリンピック・パラリンピックを機に東京がホームレスの人々を包摂する「優しい都市」となることを目指し、東京工業大学の都市デザインを専門とする研究者や学生が中心となって、大会5年前の2015年10月に設立しました。海外ではオリパラを機にホームレス政策が進んだ例があり、東京も2020年大会に向け、本気で支援に取り組むべきと私たちは考えます。「ホームレス状態が存在するときに、そこに住む皆が自分たちの問題と考え、その状態をなくすために働きかけ続ける社会」をビジョンに掲げ、ホームレス問題をめぐるオリパラレガシー創出を目指して、研究者や法律家、民間企業、行政等のプロボノボランティアや、ホーム
大阪府が今年度始めた「民生委員・児童委員活動の見える化」プロジェクトで、大学生が地域住民の見守りなどを体験したインターンシップの活動報告会が11月20日、大阪市北区茶屋町の関西学院大大阪梅田キャンパスで開かれる。大学生の視点での課題や施策、民生委員や児童委員の魅力をPRする方法を発表する。 インターン生は大阪府立大と関西学院大、立命館大の計23人。大阪、堺、豊中、茨木、摂津、四條畷の6市で研修を受け、8~9月に約5日間、実際に民生委員らの活動に密着し、事後研修も受けた。 関西学院大2年、中村茉央さん(19)と立命館大2年、吉沢あやねさん(19)は9月上旬、摂津市で民生委員と一緒に1人暮らしの高齢者宅を訪ねた。80代女性にオレオレ詐欺に注意を呼び掛け、70代男性と趣味の車の話をしながら「民生委員はどんな存在ですか」と質問。困った時に一番の頼りになることなどを聞き取った。 民生委員の担い手不足
認知症に関する世界最大の会議「第32回国際アルツハイマー病協会(ADI)国際会議」が来年4月26~29日、京都市の国立京都国際会館で開かれる。2004年に同市であった第20回以来、日本で2度目の開催。主催するADI(本部・英ロンドン)が31日まで、認知症の当事者を含め発表者を募っている。 会議はADIと開催国の団体が毎年開いており、今回は過去最大規模の約100カ国4000人以上の参加を見込む。「ともに新しい時代へ」をテーマに、当事者と家族、医療・福祉にとどまらず、ビジネスや交通、買い物などあらゆる場で認知症との共存を図る。 会議は当事者が発言し運営に携わる。04年には、元豪州政府高官のクリスティーン・ブライデンさんや元会社員の越智俊二さん(故人)が、病気の苦しみや生きる決意を語り、「当事者主義」が国内でも重視される契機になった。国も同年、病名を「痴呆症」から「認知症」に変えた。
1980〜90年代に社会問題化した「薬害エイズ」の被害者を支援するため、厚生労働省は「血友病薬害被害者手帳」を作った。薬害エイズ訴訟の和解から今月で20年。医療に加えて福祉や介護など公的サービスも必要になっており、被害者が適切にサービスを受けられるよう手帳を発行した。 薬害エイズ被害者は、国のHIV(エイズウイルス)感染者についての調査研究に協力すれば健康管理費用が支払われたり、生活に支障があれば障害年金を受給できたりといった公的サービスを受けられる。 しかし、被害発生から時間が経過し、制度をよく知らない自治体や医療機関の職員が増加し、サービスを利用する際に被害者が制度について窓口で説明しなければならないケースも増えていた。
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