1973年、岡山県生まれ。早稲田大学政治経済学卒業。時事通信社、東京財団研究員を経て、2017年10月から現職。関心分野は医療・介護。論文に「日本の医療保険における保険料賦課の現状と課題」「介護報酬複雑化の過程と問題点」(いずれも『社会政策』)。雑誌『医薬経済』に「現場が望む社会保障制度」を連載中。 「映画を見れば社会保障が丸わかり!」 映画は20世紀に生まれた大衆娯楽の一つ。そこに描かれているシーンやセリフは社会情勢を反映しており、社会の関心事や意識などを知る上で重要なツールだ。そこで、映画を題材に分かりにくい医療や介護など社会保障制度の根底にある考え方や、課題を論じていくことにする。 バックナンバー一覧 古今東西の映画を通じて、社会保障制度の根底にある考え方や、課題などを論じていく連載「映画を見れば社会保障が丸わかり!」。第7回は障害者福祉、特に聴覚障害者に注目した映画として、1965
昨年4月に施行された障害者差別解消法で、国公立大学などには障害を持つ学生への支援・配慮が義務づけられ、私学にも努力義務が課せられた。合理的な理由なしに受験や入学を拒否することが禁止され、試験や授業では介助者の配置などを求めている。大学進学を望む障害者を支援する学習塾が各地で開設されるようになり、社会のリーダー育成へ期待がかかる。(原田純一) クレープ屋さんに 5月中旬、京都市中京区の聴覚障害者向け学習塾「デフアカデミー」に、小学3年の6人が集まってきた。授業は「能力開発」「カウンセリング」「教科(数学、国語など)」の3時間で、月額授業料(小学生)は1万3500円。「聴覚障害者の若者から社会のトップリーダーを輩出」をキャッチフレーズに今年4月に開設した。 能力開発の授業は、視覚の刺激と記憶を中心としたカリキュラムだ。地図の形で都道府県を覚えたり、紙にバラバラに書かれた数字を小さい順に並べたり
「年齢とともに、相手の話している声が聞きづらくなる」-。そんな高齢者の悩みを解決しようと、話し掛ける側が言い換えや発声を工夫するバリアフリーの取り組みが注目されている。言い換え用の電子辞書が開発され、企業向け研修会も開かれている。難聴は認知症などのリスク要因とされており、「聞こえないから」と閉じこもりがちな高齢者の介護予防にもなりそうだ。 ◆適切な言葉探し 東京・羽田空港のソラシドエア東京支社。客室乗務員らを対象にした「聞き間違えない話し方講座」が開かれた。 「年を取って難聴になった人は音が濁って聞こえる場合があるので、大きな声を出すだけでは不十分。低い声でゆっくりと。言葉の言い換えも有効です」 講師を務めたのはパナソニック補聴器の光野之雄さん。「例えば『握手』と『拍手』、『佐藤』と『加藤』は紛らわしい。まず子音が聞き取りにくくなるからです。『手を握る』と言い換え、名前をフルネームにしてみ
全国の自治体で「手話言語条例」の制定が広まる中、乳幼児期の手話習得の機会を行政が確保するという全国初の取り組みを盛り込んで3月に施行された大阪府の条例に注目が集まっている。手話は独自の文法を持つ言語だが、使用が禁じられた歴史を背景に、習得に関する法的な規定はなく、民間任せなのが現状だ。府は民間のノウハウを活用し、来月から乳幼児と保護者を対象にした「手話教室」を始める予定で、当事者団体からは「画期的な条例。全国に広がってほしい」と期待が寄せられている。(藤井沙織) ■民間と連携 子供たちが一心に見つめるのは絵本と手話。無音の読み聞かせが終わると、手を動かしながらうれしそうに笑った。 京都市の社会福祉法人が2年前に始めた聴覚障害のある乳幼児と保護者らの集いの場「にじっこ」での1シーン。「子供たちは手話での会話を楽しむようになり、保護者もどんどん明るくなっていく」と自身も聴覚障害のあるスタッフの
米ハワイの空港で1月、聴覚障害のある日本人観光客の女性が尋問された際、手話通訳を頼んだのに拒否されたとして、人権団体の全米市民自由連合(ACLU)は11日までに米国土安全保障省に対し、障害者の権利を保障する法律に違反したとして調査などを要求した。 ACLUなどによると、女性は1月31日、ハワイに住むボーイフレンドを訪ねるためハワイの空港に到着したところ、税関・国境警備局から過去の米国留学などについて質問を受けた。女性は受け答えのために手話通訳を要求したが拒否された。(共同)
華やかな「お練り」で幕を開けた、「にっぽん文楽」の伊勢神宮特別奉納公演。会場には字幕用タブレットやイヤホンガイドなどが用意され、「史上初のバリアフリー文楽」と銘打って開催された。 「にっぽん文楽」は、伝統芸能「文楽」の魅力を広く伝えるために立ち上がったプロジェクト(主催:日本財団)。檜(ひのき)を贅沢に使用した組み立て式舞台を用いた屋外公演で、江戸時代に庶民が親しんだ「遊芸としての文楽」を再現している。 組み立て式舞台によって、開放的な屋外で文楽を鑑賞(演目「二人三番叟」) 公演は4回目を迎え、「日本文化の原点」と称される伊勢神宮での開催が実現。2017年3月11〜14日の4日間、昼夜計7回の公演(13日夜公演は雨天中止)で約2300人を動員した。 屋外で飲食しながら伝統芸能を楽しむ「にっぽん文楽」 連日満員となり、大盛況で幕を閉じた(演目「義経千本桜 道行初音旅」) 文楽の魅力をお練りで
全日本ろうあ連盟調査 多様な言語環境整備の動き 「手話」を言語として位置づけ、普及やそのための環境整備などを進める「手話言語条例」の制定が全国の自治体で広がっている。聴覚障害者で組織する「全日本ろうあ連盟」(本部・東京)によると、2月末現在で9県56市8町の73自治体で成立し、大阪府など19自治体が準備中と、多様な言語環境を整備する動きは活発だ。条例の内容はさまざまだが、手話の普及や理解を推進するために、具体的な施策を打ち出す自治体も多い。 手話言語条例は、2011年に定められた「障害者基本法」で手話が言語として認められたのを受け、自治体で制定が始まった。聴覚障害者が生活しやすい環境を整備することを目的としている。13年に鳥取県で初の条例が制定され、同年に2自治体、14年に8自治体、15年に22自治体、16年が41自治体とかなりのスピードで広がった。
■「互いに支え合う社会を」 1月の戸田市議選で初当選した、聴覚障害を持つ佐藤太信(たかのぶ)さん(36)が6日、市議会2月臨時会のため初登庁した。全日本ろうあ連盟によると、聴覚障害を持つ地方議員は全国4例目で、県内では初めて。選挙戦で「心の声が聴こえる街へ」を標語に掲げた佐藤さんは、「戸田市からのバリアフリー社会」実現に向けて一歩を踏み出した。(菅野真沙美) ◇ 「今まで体験したことのない雰囲気なので、とても緊張しました」。同日午後、佐藤さんは慌ただしい打ち合わせの合間を縫って取材に応じてくれた。 同市出身で2歳のときの高熱が原因で失聴したが、補聴器と訓練で読唇術や発声を身に着けた。県立浦和商業高校を卒業し、平成11年に東京電力に就職した。 健常者とともに生活してきたが、「友人とは耳が聞こえないことでけんかになったり、職場でも不安のある業務があったりと、決して順風満帆ではなかった」と振り返
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