知的障害などを抱え、犯罪を繰り返してしまう「累犯障害者」を地域で支えようと、弁護士と社会福祉士が手を組む試みが動き出している。福祉的なケアをまとめた「更生支援計画」を裁判所が認め、刑が軽くなった例もある。「ただ刑務所に入れるのではなく、背景に障害があることを理解して関わらなければ解決しない」と関係者は話す。 「刑務所には絶対に戻りたくない」。川崎市にある知的障害者のためのグループホームで、男性(40)は暮らしている。知能指数(IQ)は49。厚生労働省によると、70以下は知的障害とされる。前科・前歴は20を数え、実刑判決を6回受けた。「お酒を飲むと気が大きくなってしまう」。幼いころに両親に捨てられ、児童養護施設で育った。成人になってからは、ほとんどの時間を刑務所で過ごしてきたという。 徳田暁弁護士=横浜弁護士会=が5年前に担当になり、知的障害と犯罪の関係に着目。社会福祉士に相談し、精神鑑定を
知的障害や発達障害などがある容疑者や被告の弁護活動が円滑に進むよう、横浜弁護士会と県社会福祉士会が、こうした障害者の刑事裁判に際して情報を共有する協定を結んだ。今月から取り組み、障害者の更生を支援するため協力して弁護に当たる。(鬼頭朋子) 同弁護士会によると、知的障害などがある容疑者や被告は、取り調べの時に事情をうまく説明できなかったり、必要な否認が出来なかったりし、量刑が重くなる可能性があるという。刑務所を出所してからも、必要な生活支援が受けられず、経済的問題や人間関係のトラブルなどをきっかけに軽度な犯罪を繰り返すケースがみられるという。 協定では、弁護士が被告らの様子などから福祉的支援が必要だと判断した場合、同福祉士会に依頼し社会福祉士の派遣を受ける。弁護士は本人の同意を得た上で、障害者手帳の有無や家族構成、事件の概要など具体的な情報を開示。社会福祉士は接見にも同行し、障害の影響を弁護
知的障害などがあったり認知症にかかっていたりして犯罪を繰り返す「累犯障害者・高齢者」の再犯を防ごうと、大阪地検が10月から社会福祉士を採用して専門の部署を立ち上げることがわかった。捜査段階から連携して更生を支援する。同様の取り組みは東京と仙台の2地検でも始まっているが、全国に広げるには人材不足などの課題もある。 捜査段階から連携 大阪地検が10月1日付で採用するのは社会福祉士3人。新たに設ける予定の「再犯防止対策室」に非常勤職員として直接雇用する。検察官が室長に就き、担当の検察事務官も配置する構想だ。 社会福祉士は検察官の求めに応じ、送検された累犯障害者らに面談したり、供述調書などを読んだりして、更生に必要な支援を検討する。検察官が起訴・不起訴の判断をする際や、公判で求刑をする際に参考になるように助言する。不起訴で釈放されたり執行猶予付き判決を受けたりしたときには、受け入れ先となる福祉施設
(中)男部屋に忍び込む20代女性…から続く 精神年齢が「4歳7カ月」という鑑定結果を理由に、京都地裁が自動車盗を繰り返した男(37)に無罪を言い渡して約1カ月後の平成25年9月。今度は30代の累犯障害者の女性に大阪地裁が執行猶予付きの判決を出した。前科があったため実刑もあり得たが、判決理由には「福祉の援助が期待できる」とある。 女性は店舗で万引をし、とがめられた保安員にけがをさせたとして窃盗と傷害の罪に問われていた。検察側は控訴せず、判決は確定。女性は勤務先や病院を紹介してもらい、家族とともに平穏な生活を送っているという。 執行猶予付き判決を求めた弁護側にブレーンとして加わったのが、社会福祉士だった。女性の支援計画を練り上げ、刑事裁判に使える証拠を作ったのだ。 「のぞみの園」(群馬県高崎市)のように刑務所を出た累犯障害者に特化できる福祉施設の「楽園」は、現実には数少ない。ならば最初から刑務
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