「安倍一強」の力の源泉を探ることで、見えてくるのは「官邸一強」とでも呼ぶべき実態だ。官僚統制や強権的な国会運営などで「一強」を培い、支えている構図ができあがっている。それに乗って生まれた菅政権の先行きを、「一強」の内実を検証することで占ってみる。 加計問題の強行突破 参院選告示を前に行われた日本記者クラブ主催の党首討論会。賛成・反対を尋ねた質問では、安倍首相(当時)だけが手を挙げない場面もあった=2019年7月3日、東京都千代田区 目の前にいる安倍晋三首相が真顔で聞いてきた。 「本当に胸を張って(記事に)しているということができますか」 私が「できます」と答えると、首相は言い放った。「ぜひ国民の皆さん、新聞をよくファクトチェックして」 それをNHKが全国に生中継していた。2017年10月8日。衆院選を前に、日本記者クラブが主催した党首討論会でのことだ。 発端は、加計学園の獣医学部に関する私