ある研究者は「ジェンダーは衣服のように脱ぎ着できるわけではない」と語っています。確かに、医療的、法的な面からみれば、紙面上の性を変えることはできるでしょう。ですが、元々縛り付けられていた社会的、文化的に構築された性である、ジェンダー、そして性別移行した際に期待される別のジェンダーというものは、どのような形であれ、常に残ります。 しかし、「服」そのものあるいはもっと広く「ファッション」についてはどうでしょうか? もちろん、ファッションもジェンダーの規範から自由なものではありません。ですが、ちょっとした「抜け道」はあるように思うのです。今回は、ファッションと性の関係性から、私たちが性的存在として社会を生きるための生存戦略を少し考えてみたいと思います。 ファッションとジェンダー規範のひねり 私たちは、日々、意識的にも、無意識的にも「女性らしさ」や「男性らしさ」という「ジェンダー規範」を社会から課