「マチ」か「チョウ」か-。住民が長年募らせた“モヤモヤ”が解消される。川崎市川崎区の「境町」。市はその読みを「サカイマチ」から、地域に定着している「サカイチョウ」に変更する方針を固めた。読み方のみの変更は市内初はおろか、県内でも「極めて異例」。変更の背景には住民の譲れぬこだわりがあった。 「自分の名前を間違えて読まれるようなものですよ」。町会長の大場芳彦さん(62)は言う。確かに、「スドウ」を「ストウ」と呼ばれても、気色ばんで訂正することはない。でも、片隅に違和感が残る。「それと同じ。やっぱり、ちゃんと呼んでもらいたいじゃないですか」 もっとも、「マチ」が正式表記とされたことで不便を感じたことはない。行政を含め地元では「チョウ」が浸透しているからだ。大場さん自身、公的機関に書類を提出する際に「チョウ」とふりがなを振っても指摘されたことはなかった。警察、消防への通報も問題はない。ただ、ときに