今年も間もなくゴールデンウィークだが、どこに出かけるか、検討し始めている読者も多いと思う。相変わらずの円安基調から、海外旅行を避けるという人が多いと思われ、国内の人気観光地はかなりの混雑が予想される。 羽生駅付近を走行する秩父鉄道の列車。秩父鉄道の羽生~熊谷間は北武鉄道によって建設された そこで、都内からわりと簡単に出かけられる穴場を調べてみると、北埼玉あたりが意外と面白そうに思えた。埼玉県の観光地というと、川越や秩父ばかり注目される。北埼玉にスポットライトが当たることは希だが、このエリアには興味深い鉄道史もある。今回は埼玉県行田市をかつて走った馬車鉄道と、北武鉄道について紹介したい。 明治時代、現在の行田市周辺は「鉄道空白地帯」だった 最初に足を運んだのは、行田市の忍城(おしじょう)址。映画『のぼうの城』(2012年)の舞台にもなった城といえばわかりやすいだろうか。 忍城は小田原城の支城