■「コラージュについての覚書」■ 横山勝彦 ■はじめに 画面上に絵具以外のものを貼り付けるコラージュ(collage)という技法は、多彩な表現力に満ちている。それは、今世紀初頭の前衛美術運動のなかで見出され、その姿を変えながらも、作画の重要な手法のひとつとして、連綿と現代の美術にも受け継がれている。小・中学校の教科書にも登場するほどに普及している状況を見れば明らかなように、前衛的、実験的というコラージュの発生時の特徴は消え、現代ではむしろコラージュという技法を明確に自覚することがないほどに定着していると言えるかも知れない。 今回の「現代美術の手法(1)−コラージュ」展は、我が国におけるコラージュという技法の展開を振り返ることを目的としている。大正期の前衛運動の最中に導入されたコラージュが、時代の変転とともに、現代までどのような展開を見せたかを実作品によってたどることが第一の目標である。しか